ハイブリッド車でも必要!? もはや時代遅れ!? 冬の暖気運転はもういらないって本当?

ハイブリッド車でも必要!? もはや時代遅れ!? 冬の暖気運転はもういらないって本当?

 朝晩の冷え込みがつらい季節になってきた。クルマにも暖房を入れている人も多いことだろう。寒くなってくると気になるのはクルマの暖気運転だが、今の時代のクルマに暖気運転は必要なのか? 特に最新のハイブリッド車でも暖機運転をしなければいけないのだろうか?

文:ベストカーWeb編集部
写真/ベストカーWEB編集部 Adobe Stock(NOVA STUDIO@Adobe Stock)

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暖気運転は昔は必ずやる儀式だった

今の時代、暖機運転は必要なのだろうか?(Luca Lorenzelli@Adobe Stock)
今の時代、暖機運転は必要なのだろうか?(Luca Lorenzelli@Adobe Stock)

 1960年代のクルマを運転するためには「儀式」が必要だった。知らない人が多いと思うので簡単に説明しよう。

 まず、イグニッションキーを捻ってオンにして燃料ポンプの作動音を確認。チョークレバーを引く(あるいはアクセルペダルを軽く2回ほど踏む)。それからキーをさらに捻ってセルスターターを回し、すぐにエンジンが目覚めなければ、アクセルペダルを軽く合わせてやる。

 すると「ブオンッ」とエンジンが目覚めるが、しばらくアイドリングを上げて(チョークレバーをそのままにして)、水温計の針が動き出すまではアイドリングしてエンジンを暖機運転してやらないと、プラグがカブってまともに走らなかったのだ。

 1970年代になって排ガス規制によりインジェクションが登場し、そんな儀式の必要性は減ってきたけれど、暖機運転は必要だった。エンジンを暖めることで各部品間のクリアランスを適性にし、エンジンオイルの粘度を下げることで隅々までオイルを行き渡らせることで、エンジン部品の摩耗を抑えることができるからだ。

 最近までエンジンにとって暖機運転は必要な行程だった。けれどもハイブリッド車はイグニッションボタンを押してもセルモーターは回らず、スタンバイ状態を示すのみ。

 走り出すと必要に応じてエンジンが始動し加速させるが、気が付くと停止していたりする。暖気運転はもう必要なくなったのか、と思うユーザーも少なくないだろう。アイドリングや暖機運転は、エンジンのことを考えると必要なことだ。しかし環境問題を考えた時、排気ガスはできるだけ抑えたい。

 日本では地域によって停車中のアイドリングが規制されているが、環境問題にシビアな国民性の地域では、さらにアイドリングを厳しく規制している。

 例えばドイツでは、何気なく人家の周囲でアイドリングしながら停車していようものなら、そのお宅の住人が飛び出してきて「私を排気ガスで殺す気か!」と怒られることもある。笑い話のようだが、これは実際にあった話だ。北欧では常時点灯のライトを利用して停車中のアイドリングが取り締まりを受けることも珍しくない。

自動車メーカーはできるだけ暖気運連を減らすようエンジンを改良

長時間乗らないとエンジンオイルは下がってしまうので、特に古いクルマの場合は必ずしも暖気運転は必要ないとはいえない(写真AC)
長時間乗らないとエンジンオイルは下がってしまうので、特に古いクルマの場合は必ずしも暖気運転は必要ないとはいえない(写真AC)

 そんな状況だから、自動車メーカーもできるだけ暖機運転を減らすよう、エンジンの仕様を改良し続けている。エンジン部品の加工精度が上がって、慴動部のクリアランスもより均等で少ないものになった。

 潤滑するエンジンオイルも油膜の薄い、サラサラで粘度の低いものにすることでオイルポンプの駆動損失や撹拌抵抗を抑えている。その代わりピストンのスカート部など摩擦が大きい場所にはモリブデンなどをコーティングして、摩擦損失も抑えているのだ。

 それでも設計通りの状態でエンジンを運転させるには、適正な温度帯にエンジン部品や油温が上昇していることが大事だ。

 そのためエンジンを頻繁に停止させるために温まり難いハイブリッド車や、エンジン車の寒冷地仕様車には、マフラーのサイレンサー手前に排気ガスの熱を回収するヒートコレクター(排熱回収装置)を備えて、少しでも多く熱を回収するように工夫されている。

 そうした事情は変速機も同様で、特にCVTは油圧によって緻密に制御されていることから、油温の管理が非常にシビアになっている。

 したがって冷間時のクルマは、エンジンが発生する熱を冷却水によってヒーターと変速機までが要求し、さらには排気ガスによって燃焼室と触媒、ターボ車ならターボチャージャーを暖める必要があり、熱の取り合い状態を繰り広げているのだ。

 これをサーマルマネージメントといって、エンジンや変速機以外にも様々な部品が熱管理されている。特にハイブリッド車ではモーターの電力を制御するPCUの発熱量が相当に大きく、専用の水冷装置を備えているほどだ。

 ちなみにLEDヘッドライトも発光素子の発熱量が大きく、発光素子の寿命を延ばすためにLEDライトの基盤には冷却するための工夫が施されている。

 最近のクルマはエンジン車もハイブリッド車も、冷暖房やエンジン水温、駆動用バッテリーの充電量によってアイドリングなどエンジンの運転状態をECUが制御している。

 その制御具合は開発エンジニアが、最適な状態になるようにさまざまなテストを繰り返すことによって決定しているから、基本はクルマ任せにしておいて大丈夫だ。

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