フル電動版メルセデスベンツGクラスはガソリン車と変わらない!? 伝統のV8サウンドを模倣したシステムの完成度がホンモノすぎた

フル電動版メルセデスベンツGクラスはガソリン車と変わらない!? 伝統のV8サウンドを模倣したシステムの完成度がホンモノすぎた

 世界中で絶大な支持を受けているメルセデス・ベンツGクラスが、2024年に歴史を動かした。最高出力586ps、116kWhバッテリー、車両重量は3085kg。数字だけ見れば重たいBEVのはず。ところが実際は、驚くほど自然で乗りやすい。その理由に迫る。

文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:小塚大樹

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ゲレンデの歴史を変えたフル電動モデルのローンチ

ラダーフレームの間に詰め込むようにして容量116kWhもの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載
ラダーフレームの間に詰め込むようにして容量116kWhもの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載

 芸能人、スポーツ選手、経営者。成功者と呼ばれる人たちの足元には、なぜか同じ影が伸びている。メルセデス・ベンツ Gクラス=通称ゲレンデだ。 

 理由は明確で、強烈。1979年の誕生から受け継がれてきた、スクエアで無骨なシルエット。遠くからでもやって来たとわかる圧倒的な存在感。あれは移動の道具というより、生き方の輪郭そのものだ。自分をどう見せたいか。それを、黙って語ってくれる。

 もちろん代償だってある。高額な新車価格だけでは終わらない。維持費も含めて、ゲレンデを持ち続けるには、仕事で結果を出し続ける必要がある。だからこそ、ゲレンデはただの憧れではなく、自分を鍛える相棒として選ばれ、愛されてきた。

 そんな長い歴史を、静かに、しかし決定的に揺らしたのが2024年。G580 with EQテクノロジー、初のフル電動ゲレンデが誕生した。日本でも同年10月に販売が始まっている。

 数字を見れば、力はパワーすぎるほどだ。最高出力は586ps。ガソリン最強モデルのAMG G63の584psと比べても、まったく引けを取らない。

 ただし、代わりに背負ったものがある。ラダーフレームの間に容量116kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。結果、車両重量は3085kg。G63の2640kgと比べると445kgも重い。3t超え。正直、頭のどこかで思ってしまった。「これはヘビーすぎるのではないか」と。

BEVらしさを感じさせない機能の貢献ぷり

G580 with EQテクノロジーは走るほどガソリンモデルに乗っているかのような錯覚に
G580 with EQテクノロジーは走るほどガソリンモデルに乗っているかのような錯覚に

 けれど、その疑いは、走り出して数kmでほどけていく。BEVは、アクセルを踏むと一瞬でトルクが立ち上がる。

 ガソリン車のように「吸気→爆発→変速」という手順を踏まないぶん、唐突で身体が置いていかれるような不自然さが出ることだってある。 慣れるまでは、ペダルの踏み方に神経を使う。いつものことだ。

 ところがG580は違った。ガソリンモデルに近い、あの呼吸がある。3tを超えるヘビー級とは思えないほど扱いやすく、踏み出しが自然で、気負いがいらない。ノーストレス。まるで「ずっとこのクルマを知っていた」みたいに。

 何が違う?  冷静になって、ふと我に返る。静かなはずの車内には、音があった。ドロドロと粘り気のある、V8サウンドのような響きが、確かに耳を満たしている。

 正体は「G-ROAR(Gロア)と呼ばれるもの。ボンネット下のサウンドバーと車内スピーカーの両方から音を発生させ、アクセル操作にリンクしてチューニングされる機能だ。

カーボントリムやブルーのステッチ類はエディション1専用装備
カーボントリムやブルーのステッチ類はエディション1専用装備

 これまでバーチャルサウンドを備えるBEVは他にもあった。でも多くは、どうしても作った音だとわかる。だから設定画面でオフにしてしまう。そんな経験をこれまで何度も体験してきた。

 だが、G-ROARは違う。不自然さがない。音が演出ではなく、挙動として身体に馴染んでいく。G-ROARの完成度が、BEV特有の唐突さを包み込み、ゲレンデらしいフィーリングへと変換していくのだ。

 電動になっても、ゲレンデはゲレンデだった。いや、もっと正確に言うのなら、ゲレンデが守ってきたキャラクターを、電動という新しいカタチで証明してみせた。

 静かにキビキビと、重いのに軽やかで、無骨なのに洗練されている。G580 with EQテクノロジーには、歴史を裏切らないための説得力が、確かに息づいていた。

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