いまや軽自動車ですら200万円超えが珍しくなく、新車の納期も読めない時代。「いまの愛車を少しでも長持ちさせたい」と考えるドライバーは多いでしょう。
そうした思いから、「愛車に負担をかけないように」「燃費を少しでもよくするため」と信号待ちでNレンジにいれる人もいるようですが、はたして正解なのでしょうか。愛車にとってもっともストレスの少ない「信号待ちの作法」を整理します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_One/写真:Adobe Stock、写真AC、NISSAN
【画像ギャラリー】AT車は信号待ちでDのまま? Nに入れる? Pはアリ? いちばんクルマに優しい答え(9枚)画像ギャラリーAT車の信号待ちは「Dレンジ+ブレーキ」が基本
AT車で信号待ちをするとき、シフトはDレンジのままにしていますか、それともNレンジに入れていますか? なかにはPレンジに入れるという人もいるかもしれませんが、短時間の信号待ちであれば、Dレンジのままブレーキで停止するのが一般的で、機械的な負担や燃費の面でも大きなデメリットはありません。
「Dレンジのまま停止しているとトランスミッションに負担がかかるのではないか」といわれることがありますが、一般的なAT車においてエンジンの回転力をタイヤに伝えるトルクコンバーターは、クルマが停車中、その内部でオイルが空転して入力を吸収しており、短時間の停車で駆動系に過大な負担がかかるわけではありません。
また、「Dレンジのままだと燃料がもったいない」という話もありますが、近年の純エンジン車の場合、アイドリング時の燃料消費を最小限に抑える制御が働きますし、ハイブリッド車ではむしろ、Nレンジに入れてしまうと駆動系が切り離されるため充電が行われなくなり、一定時間放置すると残量低下で電動走行が不能となるおそれもあります。
かつてのクルマでは、車両負担や燃料消費を減らすなどの目的で、信号待ちでNレンジにいれる合理性はあったようですが、現代のクルマではそれは当てはまらないのです。

Nレンジは「非常時」のためのギア
信号待ちでNレンジに入れる習慣には、安全上のリスクも伴います。信号が変わった際、慌ててDレンジに入れてアクセルを踏むと、駆動系に大きなショックを与えたり、意図せぬ急発進を招いたりするおそれがあるからです。
現代のAT車においてNレンジが想定している主目的は「非常時の切り離し」です。故障などで自走不能になった際のレッカー移動、あるいは洗車機(コンベア式)を通す際など、エンジンとタイヤの繋がりを強制的に遮断する必要がある特殊な状況のために用意されています。
Nレンジは日常的な「停止」のためのギアではなく、あくまで「トラブル対応や特殊な作業」のためのもの。そう理解しておけば、信号待ちで使う必要がないことが納得できるはずです。
長い信号ならPレンジも選択肢 ただし状況次第
もちろん、踏切待ちや長い信号など、停車が長時間に及ぶ場合にはPレンジを使うのもひとつの手です。Pレンジに入れればトランスミッション内部のパーキングロック機構が働き、車両を物理的に固定できるため、右足の疲労を軽減できます。
しかしながら、Pレンジではブレーキペダルを離すことで(オートライト車等を除き)ブレーキランプが消えるため、夜間などは後続車に停車中であることが伝わりにくく、追突を誘発するリスクがあります。さらに、Pレンジで停止中に追突されると、状況によっては駆動系に大きな衝撃が加わる可能性もあります。
そのため、一般的な信号待ちでは、やはりDレンジのままブレーキを踏んで待機する方法が無難。最近では、ブレーキペダルから足を離しても停止状態を維持できる「オートブレーキホールド」機能を備えたクルマも増えており、こうした機能を正しく活用すれば、Dレンジのままでもドライバーの負担が軽減できます。
信号待ちのたびにNレンジに入れること自体がクルマに負担をかけるとはいえませんが、クルマの設計思想に沿った自然な操作を心がけたほうが、愛車にとっては優しく、コスパのいいカーライフへの近道となります。クルマの仕組みを正しく理解し、お得にカーライフを楽しみましょう。
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