マイカーを所有していれば、程度の差こそあれ、自分の好みに合わせて“カスタマイズ”する人がほとんどだろう。新車や中古車で手に入れたマイカーは、日を追うごとに装備品などに手が入れられ、所有者の色へと染まっていくはずだ。車を家族のように思う人も多いと思う。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■思い思いのカスタマイズで自分らしさを演出
もちろん、一口にカスタマイズと言っても、車の外観を変えてしまうレベルから、車内の簡単な飾り付けまで色々。
芳香剤やカップホルダーといった、自分に使いやすい、あるいは好みに合った、実用性のあるものだけ足したり変えたりしている人は多いかもしれない。
車に掛けられる予算が増えてくると、例えばオーディオに凝って良質なスピーカーを搭載したり、多機能のナビを搭載したりと、電子機器に投資する人もいる。
あるいは室内を土足禁止にして床に絨毯を敷いたり、ダッシュボードにムートンを敷いたりする人もいるし、ぬいぐるみや花飾りなど、車内のちょっとした装飾に凝る人もいる。
周囲にアピールしたい人たちは、ネオン管や電飾といった「光物」に手を出す。青や紫に光る室内外の装飾は、注目度抜群の装備だ。純粋に速さを求め、エンジンや足回り、吸排気系にお金を掛ける人も多い。
■公共性の高いバスの装飾は難しい?
ただもちろん、これはマイカーの話だ。あるいは個人営業のトラックドライバーも、派手な装飾や電飾を取り付け、独特な排気音を奏でながら夜の国道を疾走し、デコトラと呼ばれて親しまれているが、こちらも企業が保有するトラックではない。
ではバスはどうか。日本人的な感覚で言えば、乗客を乗せて走るバスに派手な装飾を付けて走るというのは一般的とは言えない。
客商売では、あまり個人の趣味を前面に押し出した車両は受け入れられない、というより日本の一般常識としてNG……というのが正直なところだろう。
そもそも規模の大きなバス会社の場合、ドライバー1人にバス1台のように、固定されている例は少ない。
ある程度固定されているとしても、基本的にはその日運行されるバスを数人で持ちまわる、というのが一般的だろうから、たとえ許されていたとしても、個人の趣味を丸出しにしたカスタマイズは難しいと言わざるを得ない。
■割とフリーダムなチェコのバス
ところが筆者の地元チェコでは、路線バスであるにもかかわらず、やたらと運転士の趣味が丸分かりの車両を見掛ける。
もちろん、最初に挙げたような自家用車レベルのカスタマイズは、さすがに難しい。公共の乗り物である路線バスは、車両性能や外見、塗装や内装などを勝手に変えることはできないので、そこはあくまで「路線バス」としての標準が保たれている。
では、路線バスのどこで自己を主張するのか。それは運転士が乗務する運転席周辺の装飾だ。会社で言えば、デスク周りということだろうか。
一番よく見かけるのは、自分の応援するサッカーやアイスホッケーチームの装飾。運転席周辺やフロントガラス、バックミラーなどに、自分の応援するチームの旗などを飾るというもの。
小さな旗ぐらいはまだ序の口で、凝ってくると運転席窓上部にカーテンを設置している運転士もいる。小さな旗程度なら、取り外しも簡単なので分からなくもないが、カーテンはそう簡単に外せるものではない。やはり1ドライバー=1車両で固定されているのだろう。
レーシングカーではないが、スポンサーのようにメーカー名を掲出しているバスもたまに見かける。ただのステッカーをさりげなく貼っている人もいれば、闇夜に光るネオン管を付けている人もいる。もちろん、IVECOやMANといった、バスメーカーのロゴなのは言うまでもない。



