トヨタやホンダは既存の車種を改造し、感染者の移送車両を提供。自動車業界で新型コロナ支援の動き、徐々に具体化。
2020年4月17日、政府は、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大した。
現在、自動車メーカー各社は、テレワークや勤務時間の変更、生産工場の操業停止などの感染抑制の対策を行うとともに、国内での新型コロナウイルス感染防止にむけた支援活動にも動き出している。
国内自動車メーカー各社の支援の取り組みをまとめた。
取材・文/大音安弘
写真:HONDA、TOYOTA、NISSAN
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トヨタ、日産は移送車両などを提供
■トヨタ自動車/感染者移送車両を提供
トヨタは、ジャパンタクシーをベースとした新型コロナウイルス感染者移送用車両を開発。千葉県に1台、東京都内の病院などにも5台の提供を行っている。
現在、複数の自治体からも車両提供の要望を受けており、対応の準備を行っているとのことだ。
このような支援策は、トヨタグループ全体で取り込んでいくとし、具体的な支援策として、以下の6つの項目を公表している。
(1)医療用フェイスシールド(防護マスク)生産
(2)トヨタ生産方式(TPS)活用による医療機器メーカーの生産性向上への協力
(3)軽症の感染者移送に対するサポートの検討
(4)サプライチェーンを活用したマスクなど衛生用品の調達支援
(5)医療機関にて活用可能な備品の供給
(6)治療薬開発や感染抑制に向けた研究支援への参画
また、4月27日にはトヨタモビリティ東京が、江戸川区に新型コロナウィルス感染者移送用の車両2台を提供したことも発表された。
こちらは千葉県に提供されたものと同様で、感染者移送に際して、ドライバーの感染防止策が施された車両となり、都内行政への提供は初となる。
■日産自動車/フェイスシールドの生産やカーシェアの活用
日産自動車は、医療用フェイスシールドを製造し、国内の医療現場への提供を発表。これは、国内の事業所で保有する、3Dプリンターを活用したもの。4月より月約2500個の生産を開始する。
また、人工呼吸器及び人工心肺装置の製造メーカーへの支援の検討しており、グループとしても、これらの医療用機器製造のための工程改善の提案、増産場所や人材の提供、不足部品の供給等を提案していくとしている。
最新情報として4月24日、ふたつの新たな取り組みを発表。そのひとつが、カーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」の無償サービスの提供だ。
これは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、外出自粛要請が強化されるなか、生活維持のため必要な最小限の外出や職務での移動をサポートするもの。
サービス内容は、全国全国のNISSAN e-シェアモビステーションで、5月1日~31日までの1か月間、1~2時間の利用料金に相当する1回あたり1600円を値引きする。
もうひとつは、神奈川県からの協力要望に応え、医療物資搬送用の車両の提供だ。日産自動車と日産カーレンタルソリューション、神奈川県内の日産販売会社が協力し、「エルグランド」、「セレナ」、「キャラバン」など11台を6月末まで提供する。
これらの車両は、主に、軽症者受け入れ施設と病院や保健所間で物資の輸送用に活用され、医療従事者や保健所職員などの移動用にも使用される予定だ。
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