アウディRS3セダンが400psを発揮する直列5気筒、2.5Lターボエンジンを引っさげ、日本市場へ導入された。
2.5Lターボといえば、かつてマークIIやスカイラインに搭載された王道のスポーツターボエンジン。
ここ最近は2Lターボが多数を占めていたが、技術的にもふたたび2.5Lターボに脚光があたる可能性が大いにあり得るのだ。
文:鈴木直也
写真:編集部、Audi、GM、MAZDA
ベストカー2017年5月26日号
なぜ、いま2.5Lターボなのか?
エンジン排気量は、自動車史を振り返ると、得てして時間の経過とともに拡大していく傾向にあることは過去にも見受けられたとおり明らかだ。
ダウンサイジングの時代が到来し、世のなかは直噴ターボだらけになり、なかでも2Lは、世界中の自動車メーカーの大半がなんらかの形でラインアップするほどの“定番”の排気量となっているのはご存じのとおりだ。
それが当面は続きそうであることには違いないが、すでに一部でアップサイズが始まっているという見方もできる。
あるいは、2Lとの差別化だ。2Lに対して性能的に上位であることを一目瞭然で訴求できるのは言うまでもない。
例えばポルシェのボクスター/ケイマンは、素のモデルが2Lターボなのに対し、「S」には2.5Lターボを搭載するような例が今後は増えていくかも。
■世界で売りやすい「2.5Lターボ」
さらには2.5Lという排気量は世界中で売りやすいという事情もあるだろう。2.5Lは日本や欧州ではそこそこ高性能なエンジンと認識されるだろうし、かたやいまだに小排気量に対する拒否反応が根強く残る北米でも通用する。
北米では2L程度ではイメージ的に不利。いくら過給機を付けるとはいえ、ある程度排気量がないと一人前のエンジンと見てもらえない。
ましてや北米市場は景気の状況やガソリン価格に敏感に反応する傾向で、一時期はエコカーがもてはやされたが、少しでも景気がよくなると大きなクルマが売れる。
基本的には大きなクルマが好まれる市場ゆえ、やはり排気量はそれなりにあったほうがいい。
とはいえ、最近ではだいぶ事情が変わってきて、数年前からビッグスリーもダウンサイジングエンジンをラインアップするようになってきた。欧州のトレンドに合わせ、2Lターボも用意している。
ただし、それと並行して大排気量エンジンも用意しているし、ドイツ勢も北米向けには大きめの排気量のエンジンを設定するケースが多い。
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