激動の中東情勢に「自動車は当面大丈夫、政府に感謝」 代替調達と備蓄放出により自工会コメント

激動の中東情勢に「自動車は当面大丈夫、政府に感謝」 代替調達と備蓄放出により自工会コメント

 ホルムズ海峡をめぐる中東情勢の緊張が続くなか、スナック菓子のパッケージ塗料不足が懸念されたりビニール包装袋が欠品するなど、各所で影響が出ている。一部報道やSNSで「(政府の交渉不足で)全量不足が起こっているのではないか」という声がある中、国内最大の製造業業界団体のひとつである日本自動車工業会(JAMA)は、記者会見で、中東危機由来の物流に関して「(全量については)近々で問題になるレベルではない」、「代替調達や備蓄解放など、日本政府の打ち手に感謝している」と述べ、すくなくとも日本経済の屋台骨である自動車製造業界では現時点で問題なく回っていることを明らかにした。以下、2026年5月21日、都内で実施された記者会見の中で語られた、中東関連情報を抜き出してお届けしたい。

文:ベストカー編集局長T、画像:日本自動車工業会(アイキャッチ写真は三部敏宏副会長(ホンダ))

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「直ちに重大な支障なし」──政府の迅速対応が奏功

 2026年2月に勃発し、5月下旬となっても「出口」が見えず、緊張が続く中東情勢。ホルムズ海峡をめぐる動向は、世界の製造業、エネルギー供給に直接的な影響を与えうるだけに、石油や化学原料を大量に使用する自動車産業への波及も懸念されていた。

 こうした状況を踏まえ、5月21日の記者会見でJAMAは現状認識をコメント。記者から「中東情勢の日本自動車メーカーへの影響を、自工会が代表して教えてほしい」という質問があり、三部敏宏副会長(ホンダ)は「現時点で、自動車サプライチェーン全体として、すぐに足元で問題が生じる状況にはないという理解をしています」と明言した。

「当面は大丈夫」と語る背景にあるのが日本政府の迅速な対応だ。代替調達ルートの確保と石油備蓄の放出という二段構えの措置が、緊急時の供給不安を未然に防いだという。「これによって、まずは緊急のリスクは防がれている。政府に対しても感謝を申し上げたい」と、日本政府の対応を高く評価した。

 自動車メーカー各社も平時から事業継続計画(BCP)の構築に取り組んでおり、こうした日頃からの備えも「大きな問題なし」という現状を支える要因のひとつとなっている。

 とはいえ、手放しで安心できる状況ではない。会見では、中東情勢の影響を受けやすい素材・原料についての(将来的な)懸念も率直に語られた。

 具体的に懸念が示されたのが、ナフサ(石油化学の基礎原料)由来の化学製品と潤滑油だ。自動車の製造や整備に不可欠なこれらの素材について、すそ野の広い自動車製造業の一部から「不足を懸念する声」が上がっているという。クルマの補修・整備現場でエンジンオイルが入手しにくくなる、板金塗装に使うシンナーが品薄になるといった具体的な懸念も、会見の質疑で記者から指摘された。

 これに対し三部副会長は「政府から十分な量は確保されているという発表もある」と述べ、一定の安心感を示した。佐藤恒治会長(トヨタ)も「全体としては回復方向へ向かっている」との認識を示した。

 合わせて5月12日には資源エネルギー庁から業界に対して協力要請文が発出されていたことも明らかにされた。同要請は調達部会やサービス部会を通じて各社に共有されており、一部で見られる「過剰購入」の動きを抑制するための注意喚起が行われているという。

 ナフサを含む原材料の仕入れ先不安定化への対応として、JAMAが訴えるのが「パニック購買の自制」だ。

 佐藤会長はこう述べた。

「昨年の供給量・購入量をひとつの基準として、適正な購入かどうかを、全サプライチェーンでしっかり見ていく。自工会としても、パイプラインの目詰まりが起きないよう、丁寧な啓蒙と周知活動を続けていきたい」

 過去の大規模災害や資材不足の局面でも問題となってきた「まとめ買い」、「買い占め」が、今回も懸念されている。あくまで「全体は足りているが、【足りない】という不安感から誰かが買いだめをすれば、目詰まりが起こる」という状況を説明。

 資源エネルギー庁の協力要請もこうした動きを抑制する目的を持っており、JAMAは経済産業省とも連携しながら関係業界への働きかけを続けている。

記者会見ではジャパンモビリティショーBizweek2026の開催についても発表された。今年は2026年10月13日(火)~10月16日(金)、幕張メッセで開催予定。CEATEC2026と共催で、平日のみ開催、無料(全来場者事前登録制) 
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