「道路づくり」は「街づくり」 道路建設業協会が支える日本の道づくりの技術と未来

「道路づくり」は「街づくり」 道路建設業協会が支える日本の道づくりの技術と未来

 2026年5月18日、一般社団法人日本道路建設業協会(西田義則会長)(以下、道建協)は都内で記者会見を開き、『道路空間が変わる…人と環境を繋ぐ道づくり』と題したガイド・資料集を製作、公開したと発表した。道路建設業者がいま持っている技術を体系的に整理し、どのような道路づくりが可能かを示したこの資料集は、道路工事の発注を行う自治体の道路管理者はもちろん、建築系デザイン事務所やコンサルタント、そして道路を日々利用する国民全体に向けて製作されたものだ。世界最高峰の道路建設技術を持つ日本の道路建設会社、その最新技術が詰め込まれたガイドの発表、クルマ好きなら知っておきたい内容なので、以下、レポートします。

文:ベストカー編集局長T、画像:(一社)日本道路建設業協会

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「道路ビジョン2040」に応える——業界が動いた理由

 今回発表されたガイド・資料集は、国土交通省の社会資本整備審議会・道路分科会が提言した道路政策ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」を直接の起点としている。

 自動運転技術やCASEの普及、人口減少と少子高齢化、さらには「ほこみち」制度(歩行者中心の空間を整備するための占用許可の柔軟化制度)の創設など、道路をめぐる社会環境は急速に変化しつつある。こうした潮流を受け、西田会長の肝煎りで道建協のi-Pavement推進本部内に「異分野連携ワーキング」を設立、同協会の14社横断だけでなく、小型モビリティメーカー、警察署の交通担当部署、民間デベロッパーなど多彩な外部ヒアリングを重ねながら、資料集の取りまとめ作業が進められてきた。

【参考資料】道路空間が変わる…人と環境を繋ぐ道づくり(道建協公式サイト)

 本ガイドの製作にあたった道建協i-Pavement推進本部WG3(異分野連携WG)の阿部長門グループ長(東亜道路工業株式会社)は、会見の場でこう語った。

「土木と建築は、本来まちづくりの中で一体化しているはずです。しかし実際には、建設側と道路側に明確な線引きがあって、互いに別々にデザインを考えてきた。今回の資料集を、その壁を越えるきっかけにしたいと思っています」

 道路は単なる交通インフラではない。幹線道路沿いの歩道がカフェや商業空間に変わり、住宅街の路地がゾーン30やスクールゾーンで彩られ、駅前広場が多様なモビリティをつなぐハブとなる——そうした「まちづくりの主役」としての道路の可能性を、この資料集は丁寧に掘り起こしている。

5種類の道路空間と、それぞれの舗装技術——技術の引き出しは驚くほど多かった

 資料集では、対象とする道路空間を「結節点」、「賑わい道路空間」、「生活道路」の3カテゴリ、さらに地域特性に応じた5種類に整理している。それぞれにどのような舗装技術が対応できるかを体系的に示した点が、この資料集の最大の特徴だ。

道路に求められる機能は、場所や使われ方によって大きく変わる。本資料では3カテゴリ、5つの区分で「こんな道路が作れる」という事例を紹介する
道路に求められる機能は、場所や使われ方によって大きく変わる。本資料では3カテゴリ、5つの区分で「こんな道路が作れる」という事例を紹介する

 まず「結節点——大都市・地方都市」では、鉄道・バス・自動車・自転車・歩行者・小型モビリティが交差する複合的な空間づくりが求められる(たとえば品川駅前のようなイメージ)。自転車専用レーンをカラー舗装で視認しやすくした事例、遊具周辺に衝撃を吸収するゴムチップ舗装を敷いた事例、歩道橋や歩行者デッキに用いる薄層樹脂舗装・型枠式カラー舗装など、安全性と景観を両立する技術が豊富に紹介されている。環境対応の観点では、東京オリンピック開催に向けたヒートアイランド対策として普及が進んだ遮熱性舗装、保水性舗装なども具体的な施工事例とともに解説されている。

「結節点——中山間地域」では、過疎化・高齢化が進む山間部でのデマンド交通、小型バス、パークアンドライドなどに対応した設計を取り上げる。人口が少なくとも道路はその地域の「命綱」であり、安全で使いやすい設計が不可欠だという視点は、メディアでほとんど取り上げられてこなかった論点だ。

何十年も同じに見える道路でも、技術は日々進歩している。遮熱性は向上し、保水性のある道路も生まれている
何十年も同じに見える道路でも、技術は日々進歩している。遮熱性は向上し、保水性のある道路も生まれている

「賑わい道路空間」は、まさにいま注目を集めているカテゴリだ。大阪・御堂筋では側道を削って歩道を広げ、その路面にプロジェクションマッピングを活用した「御堂筋プロジェクト」が実施されている。景観を意識した再加熱式型押し舗装(既存舗装の表面を温めながら模様を作る技術)や、間伐材を活用したインターロッキングブロック舗装も紹介されており、「道路は環境にも地域文化にも貢献できる」というメッセージが込められている。

 地方都市では、宇都宮市のLRT(次世代型路面電車)や三陸沿岸のBRT(バス高速輸送システム)の専用軌道舗装が取り上げられている。自動運転システムを補助するため、横断箇所にカラー舗装を施したり、路面内に磁気マーカーを埋め込んだりする技術は、すでに実用段階に入っている。山形県鶴岡市や長野市中央通りに見られるような、地域の景観や歴史に合わせたベージュ系の景観舗装も紹介され、「青黒いアスファルトだけが道路ではない」という業界のアピールに説得力を加えている。

「生活道路」では、歩行者・自転車の安全確保が最優先テーマとなる。ゾーン30やスクールゾーンを路面カラーで明示する技術、凸型ハンプ(路面を盛り上げて車速を抑制する構造物)、疑似的なバンプをイラストと色で表現して減速を促す工法など、警察署や学校との連携が想定された技術が揃っている。

 前述の阿部グループ長は「現実には道路構造令より狭い空間しか整備されていない歩道も多い。特に生活道路ではそもそも歩道さえないケースもある。それは異常なんだということを、まず皆さんに認識してほしい」と率直に述べた。

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