短いけれど影響力は強烈なバス!! 鉄道と鉄道の間を取り持つ!? 西東京バス「御10系統」に感服!!

短いけれど影響力は強烈なバス!! 鉄道と鉄道の間を取り持つ!? 西東京バス「御10系統」に感服!!

 大都会から絶妙な秘境に至るまで、思った以上に多彩な顔を持つ東京都。そんな東京都内の自然豊かなヤマの観光スポットのひとつに、新宿から都内を出ずに電車とバスで約3時間の「御岳山」がある。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、西東京バス御10系統の写真があります)

■ケーブルカーで登る御岳山

東京都の御岳山。山の途中にケーブルカーが通っている
東京都の御岳山。山の途中にケーブルカーが通っている

 御岳山は東京都の青梅市に位置する標高929mの山で、山上から東京周辺を広く見渡せる、ここ本当に東京なの? と疑ってしまうほどの優れた景勝地であり、古くから霊峰として信仰の対象にもなっている。

 「おいぬさま」を祀る武蔵御嶽神社が特に有名で、現地へ行くとペットのワンちゃんを連れた参拝客の姿をよく見かける。

御岳山の山上から東京周辺をワイドに見渡せる
御岳山の山上から東京周辺をワイドに見渡せる

 武蔵御嶽神社や各種観光・宿泊施設が建ち並ぶ山上へは、京王グループの御岳登山鉄道が運行するケーブルカーを利用するのが便利。最大勾配25度(470パーミル)の迫力十分な高低差の移動が楽しめる。

■駅と駅の間をバスが繋ぐ

 御岳登山鉄道のケーブルカーは、標高約408m地点の滝本駅と、831m地点の御岳山駅の間およそ1.1kmの区間を結んでいる。

御岳山の主要最寄駅がJR青梅線の御嶽駅
御岳山の主要最寄駅がJR青梅線の御嶽駅

 都心から御岳山へのアクセスには、公共交通機関の場合はJR青梅線の「御嶽駅」が最寄りになる。ただし御嶽駅とケーブルカーの麓側にある滝本駅は隣接しておらず、3kmほど離れた位置関係。

 御嶽駅〜滝本駅間の移動事情はどうなっているかと言えば、ここは都内でも有名な観光スポットだけあって、路線バスが電車とケーブルカーの間を取り持っている。

■西東京バス 御10系統のプロファイル

 御嶽駅と滝本駅の橋渡し役を担う路線バスが、西東京バスの運行する「御10系統」だ。

西東京バスの御10系統。中型路線車が使われている
西東京バスの御10系統。中型路線車が使われている

 この系統はJR青梅線の御嶽駅の出入口を背にして左に60mほど進んだところにある「御岳駅」バス停と、滝本駅の約210m手前の「ケーブル下」バス停の間、約2.6kmの区間を結んでいる。

 平日は大体40分おき、土日祝は30分おきにバスが出ており、どちらかといえば御岳山ケーブルカーの発着時刻に合わせているイメージ。

御10系統の御岳駅バス停。看板が立っているため見つけやすい
御10系統の御岳駅バス停。看板が立っているため見つけやすい

 さらに、週末など集客が見込めるタイミングには増発便がある。週末に様子を見に行ったところ、ちょうど御岳駅→ケーブル下行きの増発便が運行しており、確かにダイヤ通りでは積み残しが出るかも? な盛況ぶりを見せていた。

御岳駅→ケーブル下行きの増発便がやってきた
御岳駅→ケーブル下行きの増発便がやってきた

 ただし増発便は利用が集中する方向のみ営業運転を行い、到着後は客扱いをせずに回送で引き上げていくことが多いようだ。

 JR青梅線の青梅〜奥多摩間の周辺を走る路線バスの中でも、御10系統は観光名所へのアクセス役を受け持つだけあって、けっこう本数の多い系統であるのが特徴となっている。

ケーブル下行き御10系統が御岳駅バス停で出発待ち
ケーブル下行き御10系統が御岳駅バス停で出発待ち

 また、青梅駅〜御岳駅〜ケーブル下を直通する「御11系統」もある。ただしこちらは本数が非常に限られており、2026年6月現在のダイヤ準拠で土日祝のみ。青梅駅6:51発、ケーブル下18:51発の、それぞれ1本ずつの運転となっている。

■短いながらも影響力強大!

区間によってはそれなりに狭隘な道筋を走る
区間によってはそれなりに狭隘な道筋を走る

 御10系統が通る停留所の数は全部で6カ所。前述の通り距離2.6kmと、全区間乗り通しても10分くらいの極めて短い路線になる。運賃は340円。

 バスが走る区間だけ抽出すると2km台の行程……これくらいならJR御嶽駅〜滝本駅まで歩きで補完できるのでは? とも思えてくる。

ケーブルカー乗り場の少し手前が御10系統の終点「ケーブル下」
ケーブルカー乗り場の少し手前が御10系統の終点「ケーブル下」

 歩けないことはもちろんない。とはいえ御10系統が結ぶ区間にはちょっとしたカラクリが。御岳駅を出発して半分ほど進んだところで、御岳山へ本格的に足を踏み入れる目印の大鳥居が見えてくる。

 鳥居の付け根あたりにバス停も置かれていて、名称は「中野」。JR御嶽駅→中野バス停までは概ね平坦であるが、実はこの大鳥居をくぐった直後から、山へ向かっている様子を直に感じられる上り坂が始まるのだ。

ケーブル下で折り返しの御岳駅行きになって戻っていく
ケーブル下で折り返しの御岳駅行きになって戻っていく

 高低差123mを約1.4kmの距離で稼ぐ計算になり、この場合傾斜は平均5度・88パーミル。日本で最も急な勾配を登る普通の鉄道が箱根登山鉄道の80パーミルと聞けば、人の脚で歩いてもだんだん効いてくる傾き具合である。

手書き感のある乗り場入口の案内看板が味わい深い
手書き感のある乗り場入口の案内看板が味わい深い

 しかも御岳山の上までケーブルで行き、「おいぬさま」を参拝しようと思った際、山の神社に大変よく見られる、アゴ出る寸前だろうと平静を装うのがフォーマル(?)な坂道と階段が手招きしてくる都合、せめてケーブルに乗る手前までは文明の利器に頼って脚力をキープしておくのが大変有効。

ケーブル下〜滝本駅の間は徒歩にて。距離およそ210m・高低差33m
ケーブル下〜滝本駅の間は徒歩にて。距離およそ210m・高低差33m

 ケーブルカーという非日常を味わえる乗り物に隠れてしまって、少々地味に映るかもしれないが、電車とケーブルカーの間を取り持つ御10系統は、確かに走行距離こそ短め。

 とはいえ坂道を代わりに移動してくれるのは強みであり、アリとナシとでは結果が大違いになるほどの影響力を秘めた、そつなく観光するには欠かせない移動手段といったバス像を持っていたりする。

【画像ギャラリー】御岳山アクセスの隠れ立役者! 西東京バス「御10系統」(12枚)画像ギャラリー

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