1996年に登場した初代デミオから30年。マツダの小型ハッチバックの系譜が、ついに国内市場で一区切りを迎えようとしています。デミオから続く小型車の歴史は本当に終わるのでしょうか。それとも形を変えて受け継がれていくのでしょうか。新型CX-3投入の計画が明らかになるなか、マツダの小型車戦略と、「デミオの魂」の行方を考えてみます。
文:吉川賢一/写真:MAZDA
【画像ギャラリー】小さなボディにマツダらしさを凝縮した、マツダ「デミオ」と「マツダ2」(25枚)画像ギャラリー30年続いたデミオの系譜がついに国内で幕を下ろす
マツダの国内ラインアップにおいて、もっとも小型のモデルであるコンパクトカー「MAZDA2」。2014年に登場した第4世代「デミオ」をベースとするモデルで、2019年の車名変更を経て現在まで販売が続けられてきました。
登場から12年目を迎えたこともあり、「そろそろフルモデルチェンジか」と期待していたファンも多かったと思いますが、一部報道によると、マツダ2は2026年8月をもって国内生産を終了するとのこと。デミオから続いた30年の系譜が途絶えてしまうことになります。マツダ2をベースとするコンパクトSUV「CX-3」に関しても、ホームページ上で「2026年2月末をもちまして、国内向け車両の生産を終了いたしました。」とされています。
デミオの初代モデルは1996年に登場。当時経営再建の真っただ中にあったマツダですが、広い室内空間と扱いやすいサイズを両立したデミオは大ヒットを記録し、マツダ復活の象徴的な存在となりました。
その後もデミオは世代を重ね、2014年に登場した第4世代では従来の実用車的なイメージから大きく方向転換。魂動デザインや人馬一体の思想を取り入れ、「小さくても上質で走りが楽しいクルマ」を目指したモデルへと進化しました。
コンパクトカーでありながら質感の高い内装や優れた操縦安定性を備え、さらに1.5Lディーゼルエンジンまで設定するなど、このクラスとしては異例ともいえるこだわりを投入。2019年に車名をマツダ2(MAZDA2)へ変更した後も年次改良を重ねており、「小粒ながら侮れない実力派」として、根強い人気を保ち続けてきました。
タイで開発が進む次期CX-3 次の主役は小型SUVか
ただ、2026年5月に開催された決算説明会の質疑応答で、マツダの毛籠勝弘社長は「タイで投資をし、開発をしている次期CX-3を来年市場導入する」と明らかにしています。
マツダはタイにAAT(AutoAlliance Thailand)という完成車工場を構えています。米フォードとの合弁で設立された工場で、マツダ2(タイおよび周辺国輸出用)やCX-3など、同社の小型車の生産を担ってきました。日本向けのCX-3も、2022年以降はAAT生産車が輸入されるかたちで販売されていました。
さらにマツダは2025年2月、AATを新型小型SUVの生産・輸出ハブとする方針を発表。50億バーツを投資し、次世代の小型SUV(次期CX-3)を生産する計画を明らかにしています。
近年のマツダはCX-60やCX-80といった上級SUVへ経営資源を投入してきましたが、「ラージ商品群」と呼ばれたモデルがひと通り市場投入されたことで、ようやく手薄になっていたエントリー層(スモール)のテコ入れに本腰を入れる体制をととのえることができたのでしょう。マツダ自身も次期CX-3の投入によって「ボリュームゾーンの獲得を着実に進める」としています。
そんな次期CX-3については、現行モデルで指摘されてきた後席の居住性や荷室容量を改善するため、ボディサイズやホイールベースをわずかに拡大した実用性重視のモデルになるとの見方があります。パワートレインについても、次世代マイルドハイブリッドの搭載説に加え、「MX-30」で採用されたロータリーEVが設定されるとのウワサも。また近年のネーミング戦略に合わせ、「CX-20」へ改名されるのではないかという声もあります。
いずれにせよ、次期型においてはSUVのCX-3がマツダの小型車戦略を担う重要モデルとなることは間違いなさそうです。ラインアップの多くをSUVが占める現在のマツダにおいては、自然な流れなのかもしれません。




























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