日野自動車は2026年7月2日に同社にて報道関係者向けにすでに発売している新型のセレガ(大型貸切バス)の詳細を公開した。乗客としての試乗の他に特筆すべき安全装置について、実際に前方車両に時速50キロメートルでノーブレーキ追突する体験をしてきたので同時にレポートする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■新型セレガのデザイン
現行モデルからはデザインが変更されているセレガだが、単純にコンセプトに基づいて意匠を変えたというだけではない。主に空力特性をさらに高めたデザインになっており、高速走行においての燃費向上だけではなく運転士の負担軽減にも寄与する。
またミリ波レーダー等を駆使した安全対策としてさらに追加された部分がある。左巻き込み、出会い頭、車線変更の警報を新たに出すことができる。また流体式リターダを採用することにより、減速についてフットブレーキを強力にアシストする。
さらに道路標識を認識してクルーズコントロールで新たな制限速度を提案し、安全に高速クルージングができるように運転士をアシストする機能も盛り込まれた。運転士からの見えにくさをカバーするために可変配光型のLEDランプも搭載し、確認したいところを積極的に照らしてくれる機能は運転士としてはありがたい機能だ。
安全装置であるEDSSやPCSについては、搭乗体験をするので後述する。これらの機能はデザイン込みで設計されており、単なるカッコよさだけで決められたわけではないことが実車を見るとよくわかる。
■パワートレインは12速AMTと4段流体式リターダに変更
肝心の走りについては、エンジンの変更はなく9Lのエンジンが搭載される。大きな変更点は、トランスミッションとリターダである。トランスミッションは12速AMTが搭載される。MTの設定はない。このAMTは3速発進で状況に合わせて段数を飛ばしてシフトアップすることができ、スムーズな加速と乗り心地を実現する。
またパドルによるマニュアルのような操作もでき、運転士の任意のタイミングでシフトチェンジが可能だ。実際に試乗してみると時速60km程度では9速までしか上がらず12速を体験することはできなかったが、これは高速道路で発揮する段数であろう。
一方でブレーキについては、4段流体式リターダを新たに搭載してフットブレーキに頼り切らない制動が可能だ。試乗してみると1段ずつ入れていけば通常のスムーズなブレーキをかけたような減速感で、一気に4段まで入れると電気バスの最大回生ブレーキを入れたような急減速が可能だ。ただし車内で転倒するような急減速ではなくあくまでも常用ブレーキの範囲内での急減速といった感じだった。
■EDSSは乗客でも操作する可能性アリ!
次の安全装置についての実体験をした。EDSSは路線バスにも搭載が進む安全装置で、運転士が気を失う等で異変が生じた際に乗客が客室からボタン操作で非常ブレーキを掛けられるほか、まだ意識がある運転士が運行続行が不可能と判断した場合に自ら非常ブレーキを掛けることも可能で、さらに運転士が異常なことを感知すると自動で停車することもできる。
まずは乗客操作による作動を体験した。日野車の場合はボタンのカバーを押し上げてボタンを押すだけだ。するとおよそ3秒間は車内に警報音が鳴り、車内の赤色灯が点滅して乗客に非常ブレーキがかかることを予告する。この3秒間の間は弱めのブレーキが自動的にかかる。
もし誤動作やいたずらで、運転士に異常がない場合は運転席においてEDSSの動作をキャンセルすることができるが、その操作がなされない場合は直ちに非常ブレーキがかかり車線内に停車する。
次に運転士が直接EDSSを操作した場合は3秒間の猶予はなく直ちに非常ブレーキがかかる。そしてカメラとAIによる運転士の異常検知による非常制動は、体験では初めは検知に失敗した。しかしこれは、始動直後で学習不足ということもあるが、AIの高性能さゆえに模擬でドライバーが気を失ったふりをしているのが見破られたという点もある。
コースを通常通り2周回して、オーバー気味に気を失ったふりをして中央線をまたいで対向車線に入った時点で動作し、自動で車線内に戻り停車した。これらの非常ブレーキはかなり強力でパニックブレーキとまでは言わないが、かなりの制動力で停車するのでバスの直後を車間距離を保たずに走るのはやめた方が良い。
ブレーキランプとハザードランプが同時に動作し、クラクションが鳴り周囲に異常事態を知らせる仕組みはあるが、乗用車で漫然とバスの直後を走行していると追突する危険がある。そうなると乗用車はひとたまりもないので、車間距離を保って走行したいものだ。














