運転中にヒヤッとする場面は、明らかな違反だけで起きるわけではない。本人は普通に走っているつもりでも、周囲から見れば流れを乱したり、危険を招いたりしていることがある。レースはもちろん、海外での運転免許取得の経験さえも持つ、文字通り「運転のプロ」が、日常の道路で見かける“迷惑な運転”と安全運転に必要な配慮を解説する。
文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】写真と一緒に現代に必要な交通マナーをおさらい!!(11枚)画像ギャラリー運転免許は単なるクルマを動かす資格ではない
クルマを運転していると、「これは本当に迷惑だ」と感じる場面に数多く遭遇する。交通量の多い都市部はもちろん、地方の道路でも同じだ。本人は悪気がないのかもしれない。しかし、自分だけの都合で運転をしてしまうことで周囲のドライバーに大きなストレスや危険を与えているケースは決して少なくない。
交通事故というと、速度超過や飲酒運転のような重大違反ばかりが注目される。しかし実際には周囲への配慮が欠けた運転が積み重なることでも交通の流れは乱れ、不要なトラブルや事故が発生している。
運転免許は「クルマを動かす資格」ではなく、「交通社会の一員になる資格」であるとも言える。だからこそ自分だけが良ければいいという発想ではなく周囲に迷惑をかけないという視点を常に持つことが安全運転の第一歩になる。
今回は、自身が日頃の運転や試乗取材で全国を走る中で、特に迷惑だと感じている運転を3つ紹介したい。
「追い越し」の意味、正しく理解している?
最も多くの人が迷惑だと感じているのが高速道路の追い越し車線を制限速度以下でも延々と走り続けるクルマだろう。本人は法定速度を守っているつもりなのかもしれない。あるいは「速度違反をしていないのだから問題ない」と考えているのかもしれない。
しかし、その結果として後方に長い車列ができてしまえば、それは交通の流れを著しく妨げてしまっていることになる。
追い越し車線は、その名の通り「追い越すため」の車線である。追い越しが終われば速やかに走行車線へ戻ることが本来の使い方だ。
ところが実際には、追い越し車線を自分専用の走行車線のように使ってしまうドライバーが少なくない。しかも、そのようなドライバーは速度が一定しないことが多い。少し加速したかと思えば急に速度が落ち、また加速する。その繰り返しによって後続車は車間距離を調整し続けることになり大きなストレスを受ける。
ただ、「決まり」を守っているだけでは交通安全は実現しない
現在では、後方からパッシングやクラクションで注意を促すこともトラブルの原因になりかねず、多くのドライバーはただ我慢して後ろにつくしかない。一台ならまだしも、それが十台、二十台と連なれば小さな渋滞が発生することも珍しくない。
高速道路だけではない。一般道の片側二車線道路でも右側車線を低速度のまま延々と走り続けるクルマを見かける。もちろん法律違反ではない。しかし、合法だから周囲へ配慮しなくていいということでもないはず。
速度制限は、その道路で出してよい上限速度を示しているのであって、交通の流れを止める権利を与えているわけではない。もちろん速度超過を勧めているのではない。大切なのは自分の走り方が周囲の交通全体へどのような影響を与えているかを意識することだ。
海外では、交通の流れを重視した道路設計も多い。例えばオーストラリアでは長い直線では80km/h、カーブ手前では60km/hや40km/hへ旋回半径に応じ速度を細かく規定する区間があり、合理的な速度管理によってスムーズな流れを作っている。
一方、日本では長い直線でもカーブでも一律50km/hという道路も少なくない。だからこそ、後方の交通へ目を配り、必要であれば譲るという意識が重要になる。交通社会は「譲り合い」で成り立っている。法律だけではなく、周囲への配慮もまた安全運転の一部なのだと捉えてほしい。
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