新型パジェロの「走り」を読み解け!! ラダーフレーム+リアリジットの乗り味はどうなる??

新型パジェロの「走り」を読み解け!! ラダーフレーム+リアリジットの乗り味はどうなる??

 ついに、ついに「パジェロ」が帰ってきました!! 三菱自動車は2026年9月2日、新型クロスカントリーSUV「パジェロ」を世界初披露。日本では実に7年ぶりの復活となるだけに、待ち焦がれていたファンも多いことでしょう。

 三菱「パジェロ」は、長年にわたり過酷なラリーや実戦の現場で悪路走破性を磨き続けてきた、同社を象徴する本格クロスカントリーモデルです。復活となれば、やはり「どんな走りをするのか」は気になるところ。しかも新型は、トライトンのリーフ式リアサスではなく、新開発の5リンク式リジッドを採用しています。

 この違いは走りにどう表れるのか。専用開発のラダーフレームにリアリジッドを組み合わせた新型パジェロのシャシー設計から、期待される走りと乗り心地を考えてみます。

文:吉川賢一/写真:MITSUBISHI、TOYOTA、土屋勇人、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】迫力のボディも5リンク式リアサスも!! 三菱新型「パジェロ」を写真でチェック(18枚)画像ギャラリー

トライトンのリーフ式とは違う!! 新型パジェロが5リンク式を採用した理由

 新型パジェロの骨格には、専用開発によってねじり剛性を高めたラダーフレームが採用されています。サスペンションは、フロントに左右の車輪を別々に動かせるダブルウィッシュボーン式、リアに左右の車輪を一本の車軸でつなぐ5リンク式リジッドを採用。同じプラットフォーム系を用いるトライトンが、リアサスにリーフスプリング(重ね板ばね)式を採用するのに対し、新型パジェロは車軸の前後方向や横方向の動きをリンクで規制しながら、コイルスプリングで車体を支える構成です。

 乗り心地と悪路での接地性を両立させるうえで有利な構造といえ、三菱も、この専用開発のラダーフレームと5リンク式リジッドによって、過酷な環境でも走り続けられる信頼耐久性と走破性、優れた乗り心地を両立したと説明しています。

 アジアクロスカントリーラリー(AXCR)に参戦したトライトンも、荒れた路面からの大きな衝撃を吸収し、凹凸の激しい路面での追従性を高めることで、悪路走破性を向上させるとして、リアサスを市販車のリーフ式からリンク式+コイルスプリングへ変更していました。速さを競う競技車と、快適性や日常の使いやすさも求められる市販車という違いはありますが、荒れた路面でもタイヤの接地性を確保し、車体の動きを安定させるという点では、リンク式+コイルスプリングを採用する狙いには通じるものがあります。

三菱新型「パジェロ」。全長4920mm、全幅1925mm、全高1910mm、ホイールベース2870mm。最低地上高は230mmを確保している
三菱新型「パジェロ」。全長4920mm、全幅1925mm、全高1910mm、ホイールベース2870mm。最低地上高は230mmを確保している
新型パジェロの5リンク式リジッドリアサス。コイルスプリングが載るトレーリングリンクと、その上にはアッパーコントロールアーム、後方には車軸の左右を規制するラテラルリンクも備える
新型パジェロの5リンク式リジッドリアサス。コイルスプリングが載るトレーリングリンクと、その上にはアッパーコントロールアーム、後方には車軸の左右を規制するラテラルリンクも備える
AXCR参戦車のトライトンは、リアサスペンションを4リンク式+コイルスプリングへ変更。荒れた路面での衝撃吸収性と路面追従性を高めている
AXCR参戦車のトライトンは、リアサスペンションを4リンク式+コイルスプリングへ変更。荒れた路面での衝撃吸収性と路面追従性を高めている

新型パジェロは「足が長い」!! 悪路快適性を支えるサスペンション

 新型パジェロの開発で、三菱がとくにこだわったとしているのが「悪路快適性」です。単に悪路を走り切るだけではなく、安心して快適に移動できることを重視して独自の指標を新たに設定し、厳しい路面でも不快な振動や揺れ、作動音を感じさせないよう、チューニングを繰り返したとしています。

 足回りについて三菱は、「長いサスペンションストロークと最適化されたアーム配置により優れた路面追従性を発揮」すると説明しています。実際、新型パジェロの走行写真を確認すると、大きなうねりを通過する場面で、サスペンションがしっかりとストロークし、タイヤが路面に吸い付くように追従している様子がわかり、いわゆる「足が長い」クルマであることは期待できそうです。

 サスペンションストロークには、縮み側の「バウンドストローク」と、伸び側の「リバウンドストローク」がありますが、縮み側のストローク量にゆとりがあれば、段差や路面のうねりから大きな入力を受けても、サスペンションが底付きしにくくなり、キャビンに伝わる鋭い突き上げ感を緩和することができます。

 伸び側のストロークも同様に重要です。昨今の4WDには、空転した車輪にブレーキをかけるなどして、接地しているほかの車輪へ駆動力を振り分ける電子制御もあり、新型パジェロにも、前後左右の駆動力配分と四輪ブレーキを統合制御するS-AWCが採用されていますが、タイヤが路面から大きく離れてしまえば、そのタイヤから駆動力や制動力を伝えることはできません。電子制御を活かすためにも、タイヤを路面に接地させ続けるストローク量が欠かせないのです。

 もちろん、乗り味はダンパーの減衰力やスプリングのばね定数、バウンドラバーなどの特性によっても大きく変化しますが、タイヤを物理的にどこまで上下動させられるかという絶対量は、サスペンション形式やアーム長、フェンダーハウスやフレームのクリアランスといった基本骨格のパッケージングに依存します。ダンパーやスプリングのセッティングだけでどうにかできる領域ではありません。

 具体的なホイールストローク量はわかりませんが、写真から確認できるサスペンションの動きと、開発陣が掲げる「悪路快適性」を重ねると、オフロードでの走破性だけでなく、オンロードでの乗り心地にも期待が持てます。

大きなうねりを通過する新型パジェロ。リア右輪が縮み、左輪が伸びながら路面に追従している様子が確認できる
大きなうねりを通過する新型パジェロ。リア右輪が縮み、左輪が伸びながら路面に追従している様子が確認できる
具体的なストローク量はわからないが、凹凸の大きな路面でもタイヤを接地させようとする足の動きが確認できる
具体的なストローク量はわからないが、凹凸の大きな路面でもタイヤを接地させようとする足の動きが確認できる

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