イギリスで数々の欧州向けモデルを生産してきた日産サンダーランド工場。日産の欧州での拠点となってきた同工場だが、近年低迷する稼働率を受け、生産ラインのひとつを中国メーカーに貸し出すという。2社の思惑が複雑に絡み合う!!
※本稿は2026年6月のものです
文:角田伸幸/写真:日産
初出:『ベストカー』2026年7月26日号
かつての日産のように欧州への扉を開く中国メーカー
日産の欧州戦略を語るうえで、イギリスのサンダーランド工場は外せない。リーフを生み、次期EVジュークの生産も予定する重要拠点である。その工場で、なかなか象徴的な動きが出てきた。
日産は中国の奇瑞汽車と、サンダーランド工場での車両生産に向けた覚書を交わした。工場には2本の生産ラインがあるが、日産は稼働率低迷を受け、第2ラインに生産を集約する方針。
そこで、空く第1ラインの活用先として、奇瑞との協業を探ることになったわけだ。順調に進めば2027年度にも生産が始まる可能性がある。
もちろん、これは単なる「空いたラインを貸します」という話だけではない。日産と奇瑞はすでにスペインでも接点を持ち、奇瑞は欧州での足場づくりを着々と進めている。関税や補助金、現地生産の有利不利が入り組む欧州市場で、中国メーカーがじわじわ内側へ入り込んでいるのだ。
日産にとっては工場を活かす現実策。奇瑞にとっては欧州攻略の近道。かつて日本車が欧州に工場を構えたように、今度は中国勢がその扉を押し開けている。
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