月々の支払いを抑えられると人気の残価設定ローン。しかし本当の勝負は、契約から数年後にやってくる「最終回」にある。そこで何が起こるのかを知らないまま契約すると、思わぬ出費に直面しかねない。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ、ホンダ
【画像ギャラリー】残価率が高いクルマはこれだ!! リセールと残価率は結び付きが強いゾ。(10枚)画像ギャラリー最終回には「3つの選択肢」が用意されている
残価設定ローンは、契約時に数年後の下取り予想価格(残価)をあらかじめ設定し、車両価格からその残価を差し引いた金額を分割払いする仕組みだ。契約期間が満了するタイミング、いわゆる最終回では、多くの場合「乗り換え」「返却」「買い取り」の3つの選択肢が用意されている。
乗り換えは、そのクルマを下取りに出して新たな残クレ契約を結び直すパターン。返却はそのままクルマを手放して契約を終了するパターン。買い取りは、設定されていた残価分を一括またはローンで支払い、そのクルマを正式に自分のものにするパターンだ。契約時点ではこの選択肢の存在を軽く聞き流してしまいがちだが、実際にはこの3択のどれを選ぶかによって、最終的な総支払額が大きく変わってくる。
無条件で返却できるわけではないという誤解
残クレの説明でよく耳にするのが「契約満了時には返却すればいい」という言葉だ。しかし、この返却は決して無条件ではない。多くの契約には、年間の走行距離上限と、車両の状態に関する条件が設定されているのだ。
走行距離が契約で定めた上限を超過していれば、超過分に応じた精算金の支払いを求められる。また、車内の傷や凹み、喫煙によるニオイの付着など、通常の使用範囲を超える損耗があると判断された場合も、追加の負担金が発生することがある点には要注意。「返却すれば身軽になれる」というイメージだけで契約すると、最終回に思いがけない請求書を突きつけられることになりかねない。
実際の現場感覚として、最終回に返却を選ぶ人よりも、乗り換えを選ぶ人の方が圧倒的に多い。理由は単純で、多くのユーザーが最初から「数年後には新しいクルマに乗り換えるつもりで」残クレを選択しているからだ。この場合、残クレはローンというより、実質的に「数年ごとに新車に乗り換えるためのサブスクリプション」に近い性格を帯びてくる。
乗り換えを前提にするのであれば、月々の負担を抑えながら常に新しいクルマに乗り続けられるという残クレのメリットを、最大限に享受できる形になる。逆に言えば、この使い方を想定していないユーザーにとっては、残クレのメリットは限定的なものにとどまる。
「買い取り」を選ぶと、思ったより高くつくことも
気に入ったクルマを最後まで自分のものにしたいと考え、買い取りを選択する人もいる。しかし、この選択肢には注意すべき落とし穴がある。買い取りの際に支払う残価は、契約時にあらかじめ固定された金額であり、実際にそのクルマが市場でいくらの価値を持っているかとは無関係に設定されている。
もし想定より早くモデルチェンジが行われたり、中古車市場全体の相場が下落したりしていれば、設定された残価が実勢価格を上回ってしまう可能性もある。その場合、割高な金額を払って買い取ることになり、通常ローンで最初から購入していた方が結果的に安く済んでいた、という事態も起こり得る。
ここで冷静に押さえておきたいのは、残クレは月々の負担を軽くする代わりに、金利計算の対象となる元金部分が減りにくい仕組みだという点だ。残価分の元金に対してもローン期間中ずっと利息が発生し続けるため、同一条件で比較すると、通常の分割払いよりも総支払額が大きくなる傾向がある。
月々の支払額という「見た目の軽さ」だけで判断せず、契約前には必ず通常ローンとの総支払額シミュレーションを取り寄せ、両者を比較することが欠かせない。













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