クラウンクロスオーバーRSが誇る2.4Lターボ・デュアルブーストハイブリッドは、2026年9月の商品改良後も健在だ。システム最高出力はじつに349ps。クラウンスポーツPHEVも上回るパワーは、現行クラウン最強と呼ぶにふさわしいのか。その実力を検証する!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】クラウンクロスオーバーのみ地味に外観変更! リアのデザインがちょっと変わったぞ!!(8枚)画像ギャラリー272psターボ+前後モーター!! 349psを6速ATで操る
クラウンクロスオーバーRSの心臓部は、2.4L直列4気筒ターボエンジンに前後モーターを組み合わせた「デュアルブーストハイブリッドシステム」だ。トヨタが初採用したこのシステムは、燃費を最優先する一般的なハイブリッドとは狙いが異なる。
エンジンは最高出力272ps、最大トルク46.9kgmを発生。さらにフロントに82.9ps/29.8kgm、リアに80.2ps/17.2kgmのモーターを搭載し、システム最高出力は349psに達する。エンジンとモーターの最高出力は発生回転域が異なるため単純には足せないが、必要な場面で両者を効果的に働かせ、強烈な加速を生み出す。
ポイントは、2.5Lハイブリッド車の電気式無段変速機ではなく、発進クラッチを備えたDirect Shift-6ATを組み合わせること。アクセル操作に応じてギヤが切り替わるリズムがあり、パドルシフトを使えばドライバーが任意の段数を選べる。速いだけでなく、エンジンの回転上昇と加速がリンクする感覚を味わえるのだ。
駆動方式も専用のE-Four Advancedである。前後輪のトルク配分は100:0~20:80の範囲で制御。発進や直進加速では60:40~40:60程度、旋回中はほぼ50:50、コーナー脱出時には最大20:80までリア寄りとする。前輪で引っ張るだけではなく、後輪でクルマを押し出すような自然な旋回感を狙った4WDだ。
さらにナビのコーナー情報を利用して、あらかじめショックアブソーバーの減衰力を調整するNAVI・AI-AVSもRS専用。全車標準の後輪操舵DRSと組み合わせ、大柄なボディを安定させながら軽快に向きを変える。
2026年型でもパワートレーンの出力は変わらないが、前後のブレーキキャリパーを赤く塗装。ディンプル加工の本革巻きステアリングとシフトノブも採用され、走りの頂点であることを見た目と手触りでも強調した。
出力なら今も最強!! だが最もスポーティとは限らない
では、クラウンクロスオーバーRSは現在も最強のクラウンなのか。最高出力で判断するなら、答えは「イエス」だ。最大のライバルとなるクラウンスポーツPHEVのシステム最高出力は306ps。クロスオーバーRSは43psも上回る。
車重もクロスオーバーRSが1910kgなのに対し、クラウンスポーツPHEVのRSは2030kg。クロスオーバーのほうが約120kg軽く、単純計算したパワーウエイトレシオも約5.5kg/ps対約6.6kg/psとなる。絶対的な加速性能では、クロスオーバーRSがクラウン群のトップと考えていい。
ただし「最強」を、ワインディングでの身のこなしやブレーキ性能まで含めたスポーツ性と考えると話は変わる。クラウンスポーツPHEVは、クロスオーバーRSより太い235/45R21タイヤを履き、フロントには20インチディスクと対向6ピストンアルミキャリパーを装備。ホイールベースもクロスオーバーより80mm短く、旋回性を強く意識した仕立てだ。
対するクロスオーバーRSは、全長4930mm、ホイールベース2850mmの伸びやかなボディを持つ。349psで速さを見せつけるだけでなく、REAR COMFORTモードによって後席の乗り心地にも配慮する。純粋なスポーツカーというより、高速道路を圧倒的な余裕で駆け抜けるグランドツアラーなのである。
弱点は経済性だ。WLTCモード燃費は従来の15.7km/Lから15.6km/Lへわずかに低下し、燃料もプレミアムガソリン。2.5LハイブリッドのZは22.7km/Lでレギュラー仕様だから、日々の燃料代には明確な差が付く。
それでも673万9700円で349psのハイブリッドと高度な4WD、6速ATの操る楽しさが手に入る。最も俊敏なクラウンはスポーツPHEVかもしれないが、最もパワフルで、速さと長距離快適性を高い次元で両立したクラウンは、今もクロスオーバーRSだ。
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