安くて品質が高く、故障が少ない。日本車はその強みで大きく成長してきたが、一方で「走り」に対するこだわりも並々ならぬものがあった。おそらく、作り手も乗り手もみんなクルマが大好きだったからだろう。かつて、クルマは明確な「夢の対象」だったのだ。
本格的なスポーツカーはその最たるものだが、もっと間口の広い「スポーツモデル」も私たちクルマ好きを熱くさせてくれてきた。実用性や汎用性、もちろん価格も考慮に入れて幅広いユーザー層を対象にしながら走行性能も疎かにしない。そんなクルマもたくさんあったのだ。
今回はスポーツカーだけでなく、走りに並々ならぬこだわりを見せたスポーツモデルも対象に入れて、本誌執筆人のマイベストを選出した!
数えきれないほどのクルマに乗ってきた人たちが選ぶナンバーワンは実に興味深い。さて、どんなスポーツモデルが出てくるか?
※本稿は2020年7月のものです
文:鈴木直也、清水草一、小沢コージ、岡本幸一郎
写真:HONDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年8月10日号
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■ホットハッチの金字塔 4代目シビックSiR II(1989年)〈TEXT/清水草一〉
「俺の」というからには、実際に所有したモデルから選ぼう! と思い、これにしました。国産スポーツモデルは数えるほどしか買ってないけど、このクルマは当時「筑波サーキット最速」で、筑波では日産「R32GT-R」にだって負けなかったからね! 別に俺が勝ったわけじゃなくて、逆に私は筑波の耐久にR32GT-Rで出て、ホンダ「EF9シビック」にコテンパンにされた側でした。その体験が強烈で、のちに中古車で買ったってわけ
1.6L VTECとFFとして究極に近いハンドリングの組み合わせは、ホットハッチのひとつの金字塔だったと思うのですよ。VTECのバルブが高速側に切り替わると、「カーン!」という甲高いメカニカルサウンドが響いて、ギュワーンと吹け上るあの感覚。自由自在の操縦性、タックインもコントローラブルにバッチリ決まる! ミニサーキットでは無敵に近かった。1回しか走らなかったけど。
私はこのシビックを走行会仕様にしたのですが、スポーツサスペンションを入れて車高を落としたら、ものすごく乗り心地が硬くなって、首都高では内臓が痛かった。内臓が痛いって感じた自家用車は、あとにも先にもコレだけ。でもそんなホットハッチを一度でも所有できたのは、人生に悔いなしという感じがします。
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