さらばスズキバレーノ!! 登場4年で日本から撤退の敗因

さらばスズキバレーノ!! 登場4年で日本から撤退の敗因

 スズキのコンパクトカーの1台である「バレーノ」が、2020年7月はじめでWebサイトへの掲載を終了し、現在新車で買えるのは在庫のみとなっている。

 今回は残念ながら日本での販売は4年少々、一代限りとなってしまったバレーノを振り返る。

文/永田恵一
写真/SUZUKI、TOYOTA

【画像ギャラリー】販売終了のバレーノと 海外から逆輸入で日本にやってきた スズキの現行モデルたち


■わずか4年で日本撤退 バレーノってどんなクルマ?

 バレーノは、2015年のジュネーブモーターショーに出展されたコンセプトカー「iK2」を経て、同年のフランクフルトモーターショーで市販車が登場、2016年3月に日本での販売が始まった。

2015年のジュネーブモーターショーに出展されたコンセプトカー「iK2」。ライバルであるヴィッツやフィットの全高が高くなる傾向のため、それとは一線を画した格好よさと居住性をバランスさせることを目標に開発された
2016年3月に日本での販売が始まった「バレーノ」。スズキのグローバルコンパクトカーとして、インドをはじめ欧州でも販売されている

 コンパクトカーにおけるバレーノのポジションは、同社のスイフトをド真ん中のコンパクトカーとすれば、ボディサイズが全長3995×全幅1745×全高1470mmと3ナンバーとなる日本車では珍しいものだった。

 これはバレーノが、スズキの存在感が強いインドと開拓段階にあるヨーロッパを中心に考えたモデルだったためもあり、バレーノは例えるならルノー「ルーテシア」やプジョー「208」といった輸入車のコンパクトカーに近いモデルともいえる。

 バレーノは、コンパクトカーとしては大きいボディサイズを生かしたキャビンとラゲッジスペースの広さ(特に横方向)に加え、パワートレーンはオーソドックスな1.2L 直列4気筒ガソリンNA+CVT、1L 直列3気筒ターボ+6速AT(このパワートレーンは最近のマイナーチェンジでスイフトからはカタログ落ちし、搭載するのはコンパクトクロスオーバーのクロスビーのみだが)を設定。

 クルマの土台となるプラットホームも、バレーノで初採用となった現行スイフトなどに通じる新世代のもので、日本仕様の最軽量車は3ナンバーサイズながら910kgという軽さを実現するなど、思い返すと現在のスズキのコンパクトカーに盛り込まれる技術を示唆したモデルでもあった。

 またバレーノは、当時先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールを装備する日本車のコンパクトカーはおそらくなかったなか、1Lターボはアダプティブクルーズコントロールを装備していたほか(登場翌年の2017年には珍しいものではなくなるのだが)、1.2LガソリンNA/141万8000円、1Lターボ/161万7840円という価格もボディサイズの大きさなどを加味して考えると、安いといえば安かった。

新開発1.0L直噴ターボのブースタージェットエンジン(102ps/15.3kgm。発表当時は111ps/16.3kgmだった)と、1.2L自然吸気のデュアルジェットエンジン(91ps/12.0kgm)の2種類を搭載していた

 なお、スズキの軽自動車以外の登録車にはハンガリー製の「エスクード」や「SX4 Sクロス」という輸入車もあるが、日本で販売されるバレーノも日本で販売される日本車として初となるインド製で、登場当初の年間販売目標台数は6000台だった。

 登場後、バレーノは2016年11月に1.2LガソリンNAで装備を充実させたXSグレードの追加、2018年5月に1Lターボエンジン搭載車の使用ガソリンをハイオクからレギュラーに変更する(それに伴い最高出力、最大トルク、カタログ燃費は低下)という仕様変更を行った。

 ちなみに、バレーノはインドでは登場から4年で65万台(月1万台以上)を販売する人気車で、資本提携を結ぶトヨタにも「グランツァ」の車名でOEM供給されている。

こちらがバレーノのトヨタ版となる「グランツァ」
こちらがバレーノのトヨタ版となる「グランツァ」

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