かつての超名門マーチの現在地 日産はマーチをどうしたいのか?

かつての超名門マーチの現在地 日産はマーチをどうしたいのか?

 見捨てたかと思ったら、まさか「改良」とは…。

 日産は、2020年7月、コンパクトカー「マーチ」の商品改良をした。一時、生産調整も行われ、モデル存続が危ぶまれたマーチであるが、ここにきての「改良」とは、日産はマーチをどうするつもりなのだろうか。

文:吉川賢一/写真:NISSAN

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今回の改良ポイント

 現在、日本で発売されているマーチ(K13型)は、2010年7月に登場した4代目で、すでに10年目へ突入している古いクルマだ。タイで生産して日本へ輸出するという、現在のキックスが行っている方法を、いち早く導入したモデルでもある。

K13型マーチは、2010年7月に登場した4代目、すでに10年目へ突入している古いクルマだ

 今回の改良ポイントだが、具体的には、前方の状況を監視して車両や歩行者との衝突回避・衝突被害軽減を支援する「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる前方・後方への急発進を抑制する「踏み間違い衝突防止アシスト」を、全車標準装備に。

 加えて、対向車を検知すると自動でロービームに切り替える「ハイビームアシスト」、高速道路などでのふらつきを検知して作動する「LDW(車線逸脱警報)」などの先進安全技術も標準装備とした。

 こうして先進安全装備を標準化したことにより、「セーフティ・サポートカーS<ワイド>(サポカーS<ワイド>)」の対象となり、サポカー補助金の対象になった。

 10年前ならばまだしも、昨今のクルマには当たり前になった安全装置が、ようやく備わったことになる。しかしながら、クルーズコントロールやレーンキープアシストなどの運転支援装備は備わらず、ましてやプロパイロットも搭載ならず、若干の延命処置が施されただけだ。

やはりマーチに時間は残されていない

 内田社長兼CEOは、2020年5月に行った事業構造計画「NISSAN NEXT」の会見で、2023年度までに車種数を20%削減(69から55車種以下)したうえで、商品ライフサイクルを4年以下に若返らせること、そして新規モデル投入はCセグメント、Dセグメント、EV、スポーツカーに集中させることを発表。

 さらには「2023年度末までに、新たに電気自動車2車種とe-POWER搭載車両4車種を追加し、ラインアップを拡充する。当社の販売の電動化率は60%に達する見込みだ。」とも発表している。

 サプライズムービーでは12車種がシルエットで登場したが、コンパクトカーは、ノートとマグナイト(インド市場向けコンパクトSUV)のみで、マーチクラスのコンパクトカーは入っていなかった。

マーチはモデルライフが長いことでも有名だが、先進安全装備などのトレンドには追いけいていなかった

 グローバルでの戦略発表の場であるにもかかわらず、かつての世界戦略車「マーチ(マイクラ)」が、入っていないことを考えると、今回の改良での「延命措置」は、おそらく、次期型ノートへバトンタッチするまでの顧客繋ぎのためであり、残念ながらマーチに残された時間は少ない、と考えざるを得ない。

本命はもはや「デイズ&ルークス」

 日産は、三菱とのタッグで軽自動車という武器を得た。「デイズ」 「ルークス」の2つの軽自動車は、国内で需要があることから、日産としても十分な投資ができる。「ノート」は、世界でも認められているグローバルカーであるため、国内だけでなく、海外でも需要が見込める。コンパクトなクルマは、その3台に注力する、というのが日産の考えなのだろう。

水を得た魚のように、軽自動車ランキングで上位に食い込んでいるルークス

 K13型までマーチとモデル共用であった「マイクラ」は、欧州地域のみでモデル更新してK14型マイクラとして販売されており、グローバルカーであるノートとは、販売台数も育ちも違う。

欧州のK14マイクラの日本導入の可能性は低い

 マイクラのブランドは、そのまま欧州では残されるかもしれないが、K14マイクラを日本に持ってくるのは、コストやロジスティクスの問題、さらには、ノートとの顧客の食い合いなどの問題があり、おそらく実現は難しい。

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