【追悼・渡哲也さん】“元祖カースタント” 西部警察を彩った日産の名車たち

 既報のとおり、昭和の名優の1人である渡哲也さんが78歳でご逝去された。

 生前多数の映画やドラマに出演された渡さんだったが、その代表作の1つが1979年10月から1984年10月の5年間に掛け、パート3までの三部作という形で放送された「西部警察」である。

 2021年1月16日で解散されることが発表された石原プロモーション制作の西部警察は、「映画を超えるドラマを」というコンセプトが掲げられていた。

 それだけにパート1第1話で装甲車が東京銀座の晴海通りを占領するシーンに始まり、建物、船や路面電車が代表的な爆発、役者本人が行うことが多かった激しいアクションなど、コンセプト通りテレビの領域を超越した刑事ドラマだった。

 また、西部警察は5年間で約5000台が廃車になったというカースタントや、舞台となる西部署に、なぜか配備されるスーパーマシンといったクルマ絡みも大きな見どころであった。

 これは映画「栄光への5000キロ」以来石原プロモーションと強い関係にあった日産の全面的なバックアップも多大に貢献したもので、現在40歳、西部警察は再放送で見た筆者を含め、西部警察をきっかけにクルマや日産車に興味を持った人も少なくなかったに違いない。

 そこで、本稿では自動車メディアの視点から渡さんもハンドルを握り、西部警察を彩ったクルマたちのベースとなった日産車を振り返っていく。

 謹んで渡さんのご冥福をお祈りします。

文:永田恵一、写真:日産

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【1】ガゼールオープン/ガゼール

劇中ガゼールオープンのベースとなった初代ガゼール 2ドアハードトップ(1979-1983)

 ガゼールオープンは180SXの前身的な存在だったガゼールを、カタログモデルにはない“特注”という形でオープンにしたクルマ。

 渡さん扮する大門圭介部長刑事とともにダブル出演を務めた石原裕次郎さん扮する木暮謙三捜査課長専用車だ。

 パート1第一話から登場し、特装のオープンカーだけにクローズドにするのは骨組みを組み立てる必要があるなど難儀だったようだが、石原裕次郎さんが乗っていたクルマだけにそのエレガントさが際立っていた。

 クルマ好き目線で見ると、このガゼールオープンがあのS13型シルビアに設定されたコンバーチブルに通じていたような気もする。

 オープン化以外クルマそのものの改造はなかったようだが、ボンネットとトランクリッドにはラッピングが施され、自動車電話も装備。パート1のオープニングでは石原さんがコード付きの自動車電話片手に運転するシーンもあった。

 また、パート2/3のオープニングでは石原さんがオープン状態のガゼールにドアを開けずAピラーをきしませながら飛び乗るシーン(一度マネしてみたいと思った人も少なくないだろう)や、パート1の75話では犯人から「ガゼールの全高の低さを生かし非常に低い工事中のガードを通過するため」という目的で、逃走用にガゼールが要求されたこともあった。

【2】マシンX/5代目スカイライン

マシンXのベースとなった5代目スカイライン 2000GTターボ(1980)

 パート1の45話で登場。“ジャパン”のニックネームだった5代目スカイラインのモデルサイクル後半に追加されたターボ車のクーペベースで、市販車の登場から4か月後という早さで西部警察のメンバーに加わるというところにも、日産と石原プロモーションの強い関係を感じる。

 主に大門団長がステアリングを握ったマシンXは、逃走用に高性能車のマーキュリークーガーを使う犯人を通常のパトカーでは検挙できず、ピンチに陥っていた大門軍団への小暮課長からのプレゼントという形で登場。

こちらは実際に劇中に登場したマシンXの内装

 マシンXはパワーアップにより最高速は240km/hに高められ、自動車電話はもちろん、西部署や警視庁のマザーコンピューターとの接続により各種情報を車内で見られる車載コンピューター、サーチライト&情報収集用のスチールカメラ、犯人車に残せれば位置を把握できる追跡のための特殊発信ペイント弾発射銃などを装備。

 登場回には装備を駆使し、マーキュリークーガーに乗る犯人逮捕の立役者となった。

 マシンXは、パート1の69話と退役していたパート3の47話で警察のクルマなのに盗難に遭い、パート3の時には犯人に仕掛けられた爆弾により爆発、殉職という形で姿を消した。

【3】サファリ

こちらがベースの初代サファリ。劇中車は本文にもあるように、かなりモディファイが加えられていた

 パート1の111話で登場したサファリ(初代モデルベース)は、この時期石原裕次郎さんが当時生存率3%と言われてた解離性大動脈瘤による闘病で静養されていたこともあり、西部警察で大門団長が唯一オーダーした特別機動車両だ。

 サファリにキャラクターがよく似合う苅谷俊介さん扮する源田刑事と御木裕さん扮する北条刑事が主にハンドルを握ったサファリは、鉄製ルーフが大きく開き、発砲にも活用された。

 さらに、けん引する水のタンクと接続すると犯人が立てこもった建物の破壊などに貢献する放水銃や情報収集用のビデオカメラ、犯人の位置を把握するレーダーなどを装備。

 パート2とパート3で「解離性大動脈瘤からカムバックした自分の姿を多くの人に生で見てもらいたい」という石原さんの希望も含め大々的に全国各地で行われた全国縦断ロケにもよく帯同していた。

【4】スーパーZ/2代目フェアレディZ

スーパーZのベース車となった2代目フェアレディZのTバールーフ仕様(2by2)

 マシンX後継車としてパート2の15話で後述するマシンRSとともに登場。

 基本的に大門団長がステアリングを握ったスーパーZは、2代目フェアレディZの2.8L直列6気筒NAエンジン搭載車「2by2」をベースに、大門団長が走行中にショットガンを発砲するためのフルオートガルウイングドア、ボンネットの催涙弾発射銃や4本出しマフラーを使った煙幕発生装置などを装備。

 ほかのスーパーマシンと同様に基本的に番組終盤のハイライト部分から登場し、素早く自動で開くシャッターからスーパーZが発進するシーンにテンションが急上昇したファンは多かったに違いない。

 スーパーZは、パート3の14話で警視庁のコンピューターから設計図が盗まれ、催涙弾発射銃から発射されるのが銃弾に変えられるなどの偽物が作られ、その性能が悪用されたこともあった。

【4】マシンRS/6代目スカイラインRS

 マシンRSは、6代目スカイラインでNAの4気筒DOHCエンジンを搭載したRSのクーペがベースで、パート2からパート3初期にかけて大門軍団のナンバー2的存在を務めた三浦友和さん扮する沖田刑事がハンドルを握ることが多かった。

 マシンRSは、前後シートに置かれた通信などに使うコンピューター、サーチライト、現代のものに意外に近いカーナビなどを装備していたほか、状況に応じて車道の信号を変えられるシグナルコントロールが劇中活用されることもあった。

【5】RS軍団/6代目スカイラインRSターボ&RS

劇中RS-3のベース車となった6代目 R30型スカイラインRS

 パート3の16話でスカイラインRSは、6代目スカイライン前期のターボ車(グリル付きでインタークーラーなし)2台が加わり、3台体制のRS軍団となった。

 ターボ2台は、「RS1」と「RS2」と命名され、RS1は攻撃&戦闘指揮車という役割を持ち、ルーフの機関砲が目立つほか、パワーアップなどにより265km/hの最高速を実現。

 アフターバーナーと呼ばれるマフラーから火を噴きながら加速する急加速装置による高い瞬発力も備えていた。

 RS2は、情報収集車という役割で、多くの特殊無線を搭載していたことに加え、サンルーフも装備しており、サンルーフは走行中を含めた発砲などにも活用された。

 マシンRSは、このときに情報分析車という役割のRS3にNAエンジンのままリニューアルされた。

【6】捜査用覆面パトカー/3~5代目セドリック(通称黒パト)

西部警察を彩ったセドリック(写真は330型の4ドアセダン 2000SGL-E)

 マシンX以降のスーパーマシン登場後も3代目から5代目を中心としたセドリックの黒パトも、西部警察には欠かせない存在だ(パート3最終回直前からは6代目だったこともあった)。

 白黒パトカーも含めカーチェイスで破壊されることが日常茶飯事だったセドリックだが、破壊されるセドリックはタクシーか教習車上がりで、大まかには「3代目と4代目か、ライトの丸いセドリックは破壊用」という法則だったようだ。

 そのためカーチェイスの最中でセドリックが破壊用のものに変わると、「これはそろそろだな」と察知する視聴者は珍しくなかった。

◆  ◆  ◆

 西部警察は、クルマ好きや日産ファンの育成に多大な貢献を残したドラマだった。

 それだけに日産車に乗って数々のアクションを見せてくれた渡さんを偲びながら、ぜひ日産の協力も含め、良好なコンディションで多くが現存しているというスーパーマシンたちが集結したイベントの開催などを熱望するファンはきっと数多いに違いない。

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