東京ビッグサイトで開催中の第45回東京モーターショー(10/28〜11/5)にて、今回の目玉車種のひとつとしてトヨタが世界初公開したクラウンコンセプト。
その姿に驚いた読者の方も多いのではないだろうか。なにしろまるでスポーツカーのような流麗なフォルム。
エクステリアは6ライトキャビンの4ドアクーペに仕立てられ、あくまで「コンセプト」としながらも2018年夏の発売を予告しており、外観デザインについてはほぼこれで決まりだという。
そんなクラウンコンセプトをしげしげと眺めていたら、解説スタッフの方が親切にこの車両の詳細を教えてくれた。
話を聞いてみると、え、そんなことも教えてくれるの……? と公式発表よりさらに突っ込んだ話が続々と。以下、モーターショー会場で取材した次期クラウンの生情報です。
文:大音安弘
■現行型よりわずかに大きくなったボディ
2018年夏(おそらく6月頃)に発売される新型クラウン、今回出品されたコンセプトモデルはほぼ新型と同じで、現行型と比べるとボディサイズは大きくなったように思うが、寸法は全長4900×全幅1800×全高1455mm。
現行型アスリート比較だと全長+5mm、全高+10mmと拡大幅は極わずかで、全幅は変わらない。
大きく異なるのはホイールベースで現行型比+70mmの2920mmとなり、サイズ感はそのままに、キャビンはより広くなっていることが分かる。
プラットフォームは、レクサスのフラッグシップモデルのクーペ「LC」とセダン「LS」に採用するGA-Lプラットフォームで開発されている。
クーペライクなスタイルだが、全高を充分に確保することで、乗降性はレクサスよりも優れるそうだ。
タイヤは前後ともブリヂストンのポテンザRE050Aで、サイズは235/45R18。こいつはスポーティな選択だ。いかにも「走りを重視しました」というタイヤチョイス。
■フロントグリルの「RS」の意味は……?
あまりにもスポーティで挑戦的なコンセプトのフロントグリルには、クラウンエンブレムの隣に「RS」の文字が輝く。
解説スタッフの方になにげなく「RSは、ロイヤルサルーンの意味でしょうか?」と尋ねると、「いえ、RSというスポーティグレードです」との回答にビックリ。
え、一体どういうことでしょうか。
クラウンの顧客の平均年齢は、すでに70歳代を優に超えており、次期型は顧客ターゲットの若返りが急務だという。
またクラウンユーザーはクラウンを乗り継ぐ人が中心だったが、これからは他車からの乗り換えを増やしていくことも重要となる。
そこで、新型は「ロイヤルサルーン」や「アストート」、「マジェスタ」という作り分けをせず、基本をスポーティ路線に絞るという。
マジですか。伝統のグレード名、「ロイヤルサルーン」や新興ながら熱烈なファンを生み出した「アスリート」、長らく「クラウンの上級車種」という位置づけだった「マジェスタ」も廃止して、新たな住み分け、グレード展開をするということか。
かなり大胆な仕掛けだが、では今までのクラウン愛用者や法人ロイヤルサルーンの顧客はどうするのかという疑問がわく。
そこらへんの事情も聞いてみると、現状ではかつてロイヤルサルーン派だったクラウンユーザーも今ではアスリートへの乗り換えが多く、法人からもアスリート指名がどんどん増加しており、アスリートの存在がロイヤルサルーン需要を飲み込もうとしているのが現実なのだという。
そういう事情もあって、従来のアスリートのようなスポーティな味付けが次期型クラウンのベースとなり、それを土台にしてグレード展開を見直すとのこと。
また価格面に関していうと、クラウンはBMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスなどの欧州Dセグメントセダンとぶつかることになる。
新型があらためてそれら欧州名門軍団と勝負するためには、高い走行性能も求められるので、新型はニュルブルクリンクサーキットで走行テストを行うなど、走りも徹底的に磨くことになった。
ただそのいっぽうでサイズをキープするなど、日本の道路事情にはマッチするようにしっかりと気配りがあることも忘れてはならないポイントだそう。
さすが日本を代表する車種なだけに、あらゆる面からのツッコミ対策が必要だということか。
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