日本の商用ワンボックスバン業界でトヨタ ハイエースと双璧をなす日産NV350キャラバンが、9月24日に一部変更された。
一部仕様変更の内容は2.5Lガソリンエンジンを搭載する、10人乗りワゴン(ボディサイズは5ナンバー枠のロングと3ナンバーサイズのスーパーロング、どちらも3ナンバー)の環境対応のためのエンジンの一部改良などに留まる。
しかし、この一部仕様で注目したいのが、増加している車中泊ニーズに対応して追加された「マルチベッド」というバリエーションである。
本稿では新設定されたNV350キャラバンマルチベッドと、実はハイエースにも以前からある同様のコンプリートカーと合わせて紹介したい。
文:永田恵一、写真:日産、トヨタ
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NV350キャラバンマルチベッドの詳細は?
日産車のコンプリートカーや福祉車両を手掛けるオーテックジャパン扱いとなるNV350キャラバンマルチベッドは、NV200バネット、セレナに続く車中泊仕様第三弾である。
NV350キャラバンマルチベッドは商用1BOXバンのNV350キャラバンの中では最上級グレードとなる「プレミアムGX」(ハイエースならスーパーGLに相当する豪華仕様、ボディは4ナンバーで標準となるロング)がベース。
トランスミッションは5速ATのみで、組み合わされるエンジンは2WDが2Lガソリンと2.5Lディーゼルターボ、4WDが2.5Lディーゼルターボのみとなる。
NV350キャラバンマルチベッドの標準状態での架装内容は2列目シート後方に置かれる、跳ね上げ式ベッド+フローリングのようなベッド用フロアパネルから構成される「マルチベッドシステム」の装着だ。
マルチベッドシステムは三分割になっており、左右はベッドの足を含め跳ね上げての収納が可能だ。そのためベッドを使う状態でもベッドの下は空いているので、相当の荷物を置くことができる。
なお、マルチベッドシステムの就寝のためのベッド状態のサイズは、長さ1760mm×幅1510mmなので一人なら大柄な人でも問題ないと思うが、大柄な人2人だと厳しいかもしれない。
その際には2列目シートに前方へ完全に折りたたまれる機能と背もたれだけ前方に倒れる機能があるので、後者を使ってマルチベッド部分との高さの差があればマットなどで調整すれば、大柄な人2人でも快適に就寝できるだろう。
また、マルチベッドシステムには三分割になるベッド部分の中央部分を取り外すと、左右、右のみ、左のみを車内でベンチとしても使える。
このような基本的な機能を頭に置いて、メーカーオプションで用意される架装を挙げていくと以下のとおり。
●高さ調整機能付脱着式テーブル
フロアにテーブルの足を置く部分が装備され、テーブルそのものと足は左側のベッドの裏側に収納できる。食事やテレワークをはじめとした作業にはぜひほしい。
●サイドマルチパイプラック(左右)
衣類をハンガーに掛けて置く際などに便利
●リング一対が付く、アッパーレール左右セット
リングの細かな位置調整も可能なので、バイクや自転車を運ぶ際の固定などにも有難い
●フック(1個)
さらに、釣り竿などを頭上におけるアタッチメントをはじめとしたキャンピングカービルダーであるオグショーのパーツや、2列目シート以降のカーテンやプライベートシェードといったディーラーオプションも設定される。
このようにNV350キャラバンマルチベッドは、車中泊も伴うアウトドアや車内でもデスクワークをする人には便利なモデルである。
なお価格は2Lガソリンエンジン+2WDで340万3400円と、ベースの「プレミアムGX」の約44万円高となる。
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