三菱パジェロは日本を代表するオフロードSUV。ダカール・ラリーでは7大会連続優勝を含む総合優勝12回を誇った、言わずと知れた大傑作車だ。
昨年(2019年)惜しまれつつ日本で生産終了したわけだが、なんと「パジェロスポーツクーペ」というクーペボディタイプのデモカーが製作されていたことが判明した!
【画像ギャラリー】もし実現していれば…!?? パジェロスポーツクーペ製作の工程をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年9月のものです
文/ベストカー編集部、写真/MITSUBISHI
初出:『ベストカー』 2020年10月10日号
■昨年37年の歴史に幕を下ろしたパジェロ そのクーペタイプとは?
そのデモカーは、1997年の11月26~28日、名古屋の国際デザインセンターにて開催された「第3回 デザインビジネスフェア」で初披露された。
デザインを担当したのは江口倫郎氏。1972年に三菱自動車に入社し、ミニカ、ミニキャブ、ミラージュ、RVR、MP90Xなど多数のデザインを担当。
1990年には愛知三菱自動車販売が設立したAIMIX夢工房のコンサルタントに就任し、パジェロをベースとしたカスタムカーの開発をゼロからスタートさせた。
パジェロスポーツクーペは「国際デザインセンター」からの強い出展要望があり特別公開されたものなのだ。
気になるスペックは、全長4870mm×全幅1940mm×全高1680mm、ホイールベース2695mm。タイヤサイズは265/70R16。車両重量は1370kg。乗員は4名、想定価格は580万円。
当初のエンジンは三菱6G72 3L V6SOHC12バルブを設定。
フロントはダブルウィッシュボーン・トーションバースプリング式独立懸架、リアは3リンク・コイルスプリング式車軸懸架。
車検取得も考慮し、フレームのあるパジェロ・ロング5ドアをベースとしてスペックもそれに準拠したものとなったが、全幅はタイヤのサイズアップとともに拡幅。全高は下げられた。
最終型はシボレーの4.3L V6OHVエンジン、2WDシャシーに換装され出展。しかしその後AIMIX夢工房は閉鎖され、車体の行方は不明に。
幻のパジェロクーペとなってしまった。
江口氏は、三菱自動車時代から将来は背の高いスポーティカーが必要とされるという展望を持っていた。
パジェロスポーツクーペではクーペスタイルのまま背を高くするのでは駄目だと、車体と一体のロールバー融合型デザインとしたのが特徴。
「SUV」という言葉もなかった時代に、現在流行のクーペSUVを先駆けた江口氏の先見の明が光る一台となっている。
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