その昔、「すこし愛して、なが〜く愛して」なんていうCMがありました。大原麗子さん、子ども心にもとても可愛らしい方でした(ちなみに演出は巨匠・市川崑監督)。
そちらはお酒のCMですが、長く愛したいのはクルマもいっしょ。愛車にするなら、スルメみたく長〜く味わえる、そんなクルマがいい。
ディーラーでクルマを試乗する時間はせいぜい20~30分程度。その程度ではクルマのことなんて普通はわかりません。
スルメグルマこそ、日本人が真に求めているクルマ。そんな長く愛せるクルマを自動車評論家 松田秀士氏と清水草一氏に3台ずつ紹介してもらいます。
【画像ギャラリー】ぜひとも長く愛してほしい! おすすめ「スルメグルマ」6台をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年9月のものです
文/松田秀士、清水草一、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2020年10月26日号
■松田秀士が考える「クルマのスルメ的ポイント」
ドラポジがしっくりこなきゃダメだよね。チルトやテレスコを全部調整しても、ステアリングの角度が合わないとか、シートの座面長が長すぎるとか、長く乗ると疲れるとか等々。シートの良し悪しは長く乗らないとわからないことが多い。
人間アゲインストな部分は気づきやすいけど、「なんかいいね」っていう気づきはわりと時間がかかるもの。
ボクはまず、アゲインストな部分を炙り出しておいて、で、それらを無視する。すると、「なんかいいね」がだんだん見えてくるんですよ。
だからどことか何を、などと限定しない。自然にしっくりくるものがスルメなんだから。
■松田秀士のスルメグルマ3台
●スバル フォレスター
こんなに足が締まったSUVは他にない。足が硬いだけじゃなく、コーナリングでのステアリングスピードがドイツ車に比べても速い。つまり、切り始めからの反応が速く、旋回中のステアリング切り角も小さいので、オンロードのスポーティ度はコンパクトスポーツよりも優れるのだ。充分な車高とAWDでオフロードもイケる! 走り込むにしたがって降りたくなくなるスルメグルマだ。
●マツダ MAZDA6
室内静粛性が高く、特にディーゼルモデルは経済的に優しい。2.5Lターボは驚くほどの加速性能。昔懐かしいパワー競争の時代を思い起こさせるほどのアクセル操作が楽しめる。インテリアの質感も高く、アテンザ時代と比べて質感が大きく進化した。日が経つにつれて、その走りと室内環境は癒やしの場へと変化する。運転が生活の一部と感じるようになるクルマだ。
●プジョー SUV3008
乗り始めはプジョー独特のソフトなサスペンションフィール。これが最近のSUVにはない柔らかさで、懐かしさと安堵感に包まれる。その室内から外界を眺めると、仕事に勤しむ人々とは隔離された自分がいることに気づく。いつの間にか休息を与えてくれるのだ。しかし、いざ首都高(ワインディングでも)に乗ると驚くコーナリングマシンに変貌。魅力的なスルメグルマだ。
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