日本のトラックは箱型の「バンボディ」が主流。しかし、荷台の3方を「アオリ」と呼ばれる柵で囲った「平(ひら)ボディ」もまだまだ健在だ。フルオーダーメイドで製作される平ボディは、「つくりボディ」と呼ばれ、ちょっと特別な存在に位置付けられる。
平ボディは、荷台が開放されているため、荷物の長さ・幅・高さに関する制限がほとんどないのが特徴。また、側方・後方・天井のどこからでも積み降ろし可能なため、高い汎用性を誇る。
いっぽう、平ボディでありながら、荷台を囲ってしまっているものも存在。その代表格が「幌(ほろ)付き平ボディ」だ。幌付き平ボディは、精密機械などのデリケートな荷物を風雨から守るため、荷台を厚手の布で囲ったもの。平ボディとバンボディの中間的存在といえる。
文、写真/フルロード編集部
【画像ギャラリー】本文未掲載詳細写真あり!! 平ボディとバンボディの長所を取り入れたスペシャルトラック!
■幌付き平ボディでドライバーの負担軽減
今回紹介するのは、前からでも後ろからでも開閉可能なアコーディオン式の幌を搭載した「前後開閉式幌付き平ボディ」。神奈川県厚木市のオーネックスラインの依頼を受け、同県平塚市の美川ボデーが製作したつくりボディだ。
オーネックスラインは、自動車部品(ギアなど)の熱処理を行なうオーネックスの子会社にあたる運送会社。以前はオーネックスが扱う製品を運んでいたが、現在は工場設備や精密機械などをフリーのスポット便(定期ではない単発の輸送サービス)で運ぶ業務がメインだ。
工場設備や精密機械を扱うことが多いため、トラックは防水性の高い幌付き平ボディがメイン。幌付き平ボディは荷物を水濡れから守ることはもちろん、ドライバーのシートがけの負担軽減や、シートがけ中の荷台からの転落事故リスクの低減にも寄与しているという。
今回紹介する前後開閉式幌付き平ボディは、前後開閉式のアコーディオン式幌を搭載し、側方・後方・天井からの荷役に対応。また、荷物の水濡れ事故を確実になくすため、美川ボデー独自の防水対策を施しているのが特徴だ。
ベース車両は、三菱ふそうスーパーグレートFS系4軸低床8×4リアエアサスシャシー。振動が故障の原因となる精密機械の輸送では、リアエアサスが不可欠だ。キャブはベッド付きフルキャブ・標準ルーフのプレミアムライン(上級グレード)である。
シャシーと荷台を繋ぐ縦・横根太(サブフレーム)は、美川ボデー独自の低床工作を実施。低床化により、地上から床面までの高さ(床面地上高)1100mm、床面から天井までの高さ(荷台内高)2600mmを実現する。なお、床面には荷物を固縛するフック付きのレールが備わる。
荷台内寸は長さ9600mm、幅2350mmでバンボディと同等。アオリの高さは側方・後方とも700mmで、幌用のレールを搭載。幌は広機器製作所製の「ダイクレ・アコーディオンアーチ」の前後収納型(前後開閉式)だ。
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