最近は頻繁には聞かなくなったが、20年ほど前まではフルサービスのガソリンスタンドで給油する際に「燃料タンクの水抜き剤を入れたほうがいいですよ」というよく言われたものである。
水抜き剤はクルマ界で過去のものとなり、絶滅危惧種と言っていいかもしれないが、水抜き剤自体は現在も販売され続けているし、人によっては、最近ガソリンスタンドで勧められた、というケースもあるようだから、完全に消滅しているわけではない。
当記事では近年考えることがほとんどなくなった燃料タンクの水抜き剤の必要性などを考えてみた。
文/永田恵一
写真/HONDA、NISSAN、ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部
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ガソリンタンクに水が溜まるってどういう状態?
冬場に建物のガラスに水滴が付くことがあるのと同じように、クルマの燃料タンクも温度差による結露などにより、ごく少量の水滴が付くことがあり、その状態を「水が溜まる」と表現している。
燃料タンクに水が溜まると、何が問題?
燃料は油だけに水とは混ざらず、水分は燃料より重いため燃料タンクの底に溜まり、金属製の燃料タンクだと錆びることがある。
タンク内部の錆が燃料に混ざることによって不調となることや、最悪の場合燃料タンクに穴が開く原因となる場合がある。
頻繁に乗っていればほとんど問題ないが、長期間エンジンをかけないでいる場合は、特に注意が必要になる。
燃料タンクの水抜き剤ってどんなもの?
燃料タンクの水抜き剤は燃料と水分を混ざらせる働きがあるイソプロピルアルコールが主成分となっており、燃料と水分が混ざり、エンジン内部で燃えることで燃料タンクに付いた水分を除去するというものである。
そのため「燃料タンクの水抜き剤」という名称自体がどういうものなのかわかりにくいのも事実だ。また燃料タンクの水抜き剤には燃料タンクの錆を防ぐ防錆剤が含まれているものもある。
燃料タンクの水抜き剤の必要性は?
燃料タンクの水抜き剤は燃料タンクの錆を防ぐというのが主目的のため、ここ20年ほどのクルマであれば燃料タンクは樹脂製となっているものがほとんどなので錆の心配はない。それに加え、燃料タンク自体の密閉性もよくなっているので、水抜き剤は不要と考えていいだろう。
逆に20年以上前のクルマだと、クルマによっては燃料タンクが金属製ということもある。その場合にはなるべく燃料残量を多くキープするか、水抜き剤を使って燃料タンクの錆防止対策を行う意味もある。
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