クルマ好きのユーザーから高い人気を得ている日本車メーカーとしてマツダが挙げられる。スカイアクティブ技術と魂動デザインにより、運転の楽しい数々のクルマを手掛けてきた。
そして、近年のマツダの成長を担ってきたのは、クリーンディーゼルエンジンといっても過言ではないだろう。しかし、そのクリーンディーゼルエンジンが苦境に立たされている。2030年に東京都、2035年から政府が、電動化政策を推し進めているからだ。
そもそもクリーンディーゼルエンジンは、ハイブリッドと並んで環境性能に優れたエンジンではなかったか。なぜクリーンディーゼルエンジンが苦境に立たされることになったのか?
マツダは欧州市場でマツダ6のクリーンディーゼル搭載車の販売を終了し、北米市場ではわずか1年あまりでCX-5のクリーンディーゼル搭載車の導入を終えた。
この先、マツダのクリーンディーゼルエンジンは生き残れるのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】もう買えなくなる? 今日本で販売されているクリーンディーゼル車
クリーンディーゼルエンジンをいま一度考える
クリーンディーゼルエンジンは、実用回転域の駆動力が高く、燃費性能も優れている。しかも軽油の価格は、レギュラーガソリンに比べて1L当たり約20円安い(燃料の本体価格は軽油のほうが高いが、税額の違いで安く買える)。
税制的にもクリーンディーゼル車は、クリーンエネルギー自動車に位置付けられ、2020年度までは購入時に納める環境性能割と自動車重量税が徴収されない。
このようにクリーンディーゼルターボは、ユーザーにとってメリットが多い。燃料代は同サイズのハイブリッド並みに安く、前述の通り動力性能は上まわるから、競争力の優れたエンジンでもある。
クリーンディーゼルターボに力を入れるマツダでは、排気量も1.5L、1.8L、2.2Lの3種類を用意して、車種に応じて使い分ける。搭載車種はコンパクトカーのマツダ2(旧デミオ)から、LサイズSUVのCX-8まで幅広い。マツダでディーゼルを搭載しないのは、MX-30、ロードスター、OEM車のみだ。
マツダはMX-30にマイルドハイブリッドを搭載したが、運転の楽しさに重点を置いたスポーティな性格を考えると、クリーンディーゼルターボの親和性が高い。かつてアクセラにトヨタ製ストロングハイブリッドを搭載したが、売れ行きが伸び悩み、クリーンディーゼルターボに特化した経緯もある。
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