マツダの回答は「クリーンディーゼル車の販売は全面的に撤退するわけではない」
ディーゼルエンジンは、もともと欧州市場で人気が高く、マツダもクリーンディーゼルターボを代表技術に位置付けたが、最近は欧州で大気汚染が問題視されるようになった。排出ガス規制が厳しくなったこともあり、欧州ではディーゼル車が人気を下げている。
その結果、マツダは欧州でマツダ6のディーゼルの販売を終えると決めた。マツダ3のエンジンも、欧州では2LのガソリンとスカイアクティブXのみだ。ディーゼルの後継がスカイアクティブXという見方もできるが、メカニズムが複雑だから価格も大幅に高い。
北米市場においても、2019年7月にCX-5のクリーンディーゼル車を投入していたが販売が振るわず、1年あまりで撤退することになった。
今後のクリーンディーゼルターボについてマツダに尋ねると、以下の返答であった。
「マツダ車が搭載するエンジンは、各地域のニーズに合わせて決めている。新しいスカイアクティブXを導入する一方で、従来からのディーゼルやガソリンエンジンの開発も進めている。ディーゼルの供給を抑えるようになった地域もあるが、全面的に撤退するわけではない」。
クリーンディーゼルの優遇税制がなくなる!?
それでも欧州でディーゼル需要が下がると、販売できる地域は大幅に限られてしまう。日本国内の状況も変化してきた。クリーンディーゼルターボの人気は今でも高く、メルセデスベンツやBMWのSUVを含めて売れ行きも堅調だが、クリーンエネルギー自動車としての税金の取り扱いは2021年度から変化する。
まず購入時に納める環境性能割だが、従来のクリーンディーゼルターボは、プラグインハイブリッド/電気自動車/燃料電池車と同じく、燃費数値に係わらず非課税だ。それが2021年度以降は、ハイブリッドを含むガソリン車と同様、2030年度燃費基準の達成度合いに応じて課税の対象に入る。
ただし、販売面の痛手が大きいことも予想されるため、激変緩和措置として、2022年3月までは2030年度燃費基準の達成度合いが低い車種でも非課税とする。つまり現状を維持する。自動車重量税は、従来は燃費数値に係わらず免税とされたが、2021年度以降は2030年度燃費基準の達成度合いによって判断される。
ただしこれも激変緩和措置として、2021年度は全車が免税だ。このように直近の税額は、従来と同様、クリーンエネルギー自動車としての安さが保たれる。
経済産業省による補助金は、2020年度の今でも、クリーンディーゼルターボの一部は交付対象に入る(CX-8の場合で2万5000円から3万4000円)。2021年度以降の扱いは不明だ。
このように2021年度以降は、クリーンディーゼルターボの税金が車種によって高まるが、見方を変えると、今まで過度に手厚く保護されていたとも受け取られる。ハイブリッドは既にガソリンエンジン車と同じ扱いだが、クリーンディーゼルターボは、燃費数値に関係なく非課税や免税になっていたからだ。
プラグインハイブリッドや電気自動車は、普及途上の段階にあって価格も高いから、税金を抑えたり、補助金を交付することも理解できなくはない(もちろん反対意見も根強い)。
しかしクリーンディーゼルターボは価格が割安で、ベーシックなガソリン車との差額は、マツダ車の場合で30万円前後だ。ハイブリッドの価格上昇は35万~50万円に達するから、クリーンディーゼルターボのほうが割高感は少ない。
公平性の観点から見ても、クリーンディーゼルターボの税金を安く抑えたり、補助金を交付する必要はない。ガソリンエンジンと同じ扱いにすべきだ。
具体的に見ると、例えばマツダ3の場合、1.8Lクリーンディーゼルターボを搭載するXD・Lパッケージの価格は297万3055円だ。ノーマルタイプの2Lエンジンを搭載する20S・Lパッケージは269万8055円だから27万5000円高い。
ただし前述の通り、2020年度(2021年3月まで)の購入では、クリーンディーゼルターボのXD・Lパッケージは購入時に納める環境性能割と自動車重量税が非課税だ。そうなると課税対象に含まれる20S・Lパッケージに比べて、購入時の税額が8万1000円安い。27万5000円の価格差は、実質的に19万4000円へ縮まる。
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