電動化まであと9年! マツダのクリーンディーゼルは生き残れるのか?


クリーンディーゼルの優遇税制がなくなる!?

マツダ2のXD系グレードは1.5Lのクリーンディーゼルターボを搭載。WTLCモード燃費は21.6~25.2km/L(2WD)

 それでも欧州でディーゼル需要が下がると、販売できる地域は大幅に限られてしまう。日本国内の状況も変化してきた。クリーンディーゼルターボの人気は今でも高く、メルセデスベンツやBMWのSUVを含めて売れ行きも堅調だが、クリーンエネルギー自動車としての税金の取り扱いは2021年度から変化する。

 まず購入時に納める環境性能割だが、従来のクリーンディーゼルターボは、プラグインハイブリッド/電気自動車/燃料電池車と同じく、燃費数値に係わらず非課税だ。それが2021年度以降は、ハイブリッドを含むガソリン車と同様、2030年度燃費基準の達成度合いに応じて課税の対象に入る。

 ただし、販売面の痛手が大きいことも予想されるため、激変緩和措置として、2022年3月までは2030年度燃費基準の達成度合いが低い車種でも非課税とする。つまり現状を維持する。自動車重量税は、従来は燃費数値に係わらず免税とされたが、2021年度以降は2030年度燃費基準の達成度合いによって判断される。

 ただしこれも激変緩和措置として、2021年度は全車が免税だ。このように直近の税額は、従来と同様、クリーンエネルギー自動車としての安さが保たれる。

 経済産業省による補助金は、2020年度の今でも、クリーンディーゼルターボの一部は交付対象に入る(CX-8の場合で2万5000円から3万4000円)。2021年度以降の扱いは不明だ。

 このように2021年度以降は、クリーンディーゼルターボの税金が車種によって高まるが、見方を変えると、今まで過度に手厚く保護されていたとも受け取られる。ハイブリッドは既にガソリンエンジン車と同じ扱いだが、クリーンディーゼルターボは、燃費数値に関係なく非課税や免税になっていたからだ。

 プラグインハイブリッドや電気自動車は、普及途上の段階にあって価格も高いから、税金を抑えたり、補助金を交付することも理解できなくはない(もちろん反対意見も根強い)。

 しかしクリーンディーゼルターボは価格が割安で、ベーシックなガソリン車との差額は、マツダ車の場合で30万円前後だ。ハイブリッドの価格上昇は35万~50万円に達するから、クリーンディーゼルターボのほうが割高感は少ない。

 公平性の観点から見ても、クリーンディーゼルターボの税金を安く抑えたり、補助金を交付する必要はない。ガソリンエンジンと同じ扱いにすべきだ。

 具体的に見ると、例えばマツダ3の場合、1.8Lクリーンディーゼルターボを搭載するXD・Lパッケージの価格は297万3055円だ。ノーマルタイプの2Lエンジンを搭載する20S・Lパッケージは269万8055円だから27万5000円高い。

 ただし前述の通り、2020年度(2021年3月まで)の購入では、クリーンディーゼルターボのXD・Lパッケージは購入時に納める環境性能割と自動車重量税が非課税だ。そうなると課税対象に含まれる20S・Lパッケージに比べて、購入時の税額が8万1000円安い。27万5000円の価格差は、実質的に19万4000円へ縮まる。

捨てがたいディーゼルエンジンの魅力

マツダ3ファストバック クリーンディーゼル車の最高出力は130ps/27.5kgm。WLTCモード燃費は19.8km/L(2WD/6AT)

 しかもディーゼルは、ガソリンエンジンに比べて燃料代も安い。マツダ3ファストバック(2WD/6速AT)の場合、クリーンディーゼルターボのWLTCモード燃費は19.8km/L、2Lガソリンは15.6km/Lだ。

 そこで実用燃費がWLTCモード燃費と等しく、軽油価格が120円/L、レギュラーガソリンが140円/Lで計算すると、1km当たりの走行コストはクリーンディーゼルターボが6.1円、2Lガソリンは9円だ。

 クリーンディーゼルターボでは1km当たり2.9円が節約され、19万4000円の実質差額を6万~7万km走れば取り戻せる。この距離を走り終えれば、距離が伸びるほど1km当たり2.9円トクをするわけだ。

 しかもクリーンディーゼルターボは動力性能に余裕がある。最高出力は130馬力(4000回転)、最大トルクは27.5kgm(1600~2600回転)だ。2Lガソリンは、最高出力は156馬力(6000回転)と高いが、最大トルクは20.3kgm(4000回転)に留まる。通常の走行で多用する実用回転域の駆動力は、クリーンディーゼルターボが力強い。

 この動力性能の違いを考えると、1年間の走行距離が5000km(実質差額を6万kmで取り戻せるとしても12年を要する)のユーザーにとっても、クリーンディーゼルターボは選ぶ価値のあるエンジンになるだろう。

 最近の話題で気になるのは、マツダのクリーンディーゼルターボに煤(すす)が溜まりやすいという話だ。低速域で加減速する走り方を繰り返すと、燃焼時に発生する煤が増えて、燃料噴射装置の噴出部分に溜まる。正常な燃料噴射が行われず、煤が一層増えて、排気バルブの作動にも悪影響を与えるものだ。

 この時には、警告灯が点灯したり、グローランプが点滅するので、販売店に預ける。排気系統のパーツなどが必要に応じて無償で交換され、粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルターも清掃される。

 この点について販売店に尋ねると以下の返答だった。

 「長時間にわたる低速走行、アイドリングを頻繁に行うと煤が溜まりやすくなるが、症状は使い方によってさまざまだ。定期的にエンジンクリーナー(添加剤)を使って除去する方法もある」。

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