電動化まであと9年! マツダのクリーンディーゼルは生き残れるのか?

捨てがたいディーゼルエンジンの魅力

マツダ3ファストバック クリーンディーゼル車の最高出力は130ps/27.5kgm。WLTCモード燃費は19.8km/L(2WD/6AT)
マツダ3ファストバック クリーンディーゼル車の最高出力は130ps/27.5kgm。WLTCモード燃費は19.8km/L(2WD/6AT)

 しかもディーゼルは、ガソリンエンジンに比べて燃料代も安い。マツダ3ファストバック(2WD/6速AT)の場合、クリーンディーゼルターボのWLTCモード燃費は19.8km/L、2Lガソリンは15.6km/Lだ。

 そこで実用燃費がWLTCモード燃費と等しく、軽油価格が120円/L、レギュラーガソリンが140円/Lで計算すると、1km当たりの走行コストはクリーンディーゼルターボが6.1円、2Lガソリンは9円だ。

 クリーンディーゼルターボでは1km当たり2.9円が節約され、19万4000円の実質差額を6万~7万km走れば取り戻せる。この距離を走り終えれば、距離が伸びるほど1km当たり2.9円トクをするわけだ。

 しかもクリーンディーゼルターボは動力性能に余裕がある。最高出力は130馬力(4000回転)、最大トルクは27.5kgm(1600~2600回転)だ。2Lガソリンは、最高出力は156馬力(6000回転)と高いが、最大トルクは20.3kgm(4000回転)に留まる。通常の走行で多用する実用回転域の駆動力は、クリーンディーゼルターボが力強い。

 この動力性能の違いを考えると、1年間の走行距離が5000km(実質差額を6万kmで取り戻せるとしても12年を要する)のユーザーにとっても、クリーンディーゼルターボは選ぶ価値のあるエンジンになるだろう。

 最近の話題で気になるのは、マツダのクリーンディーゼルターボに煤(すす)が溜まりやすいという話だ。低速域で加減速する走り方を繰り返すと、燃焼時に発生する煤が増えて、燃料噴射装置の噴出部分に溜まる。正常な燃料噴射が行われず、煤が一層増えて、排気バルブの作動にも悪影響を与えるものだ。

 この時には、警告灯が点灯したり、グローランプが点滅するので、販売店に預ける。排気系統のパーツなどが必要に応じて無償で交換され、粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルターも清掃される。

 この点について販売店に尋ねると以下の返答だった。

 「長時間にわたる低速走行、アイドリングを頻繁に行うと煤が溜まりやすくなるが、症状は使い方によってさまざまだ。定期的にエンジンクリーナー(添加剤)を使って除去する方法もある」。

マツダのクリーンディーゼルは生き残れるのか?

 頻繁に渋滞に見舞われるユーザーは、ガソリンエンジンのほうが安心できそうだが、クリーンディーゼルターボも価値の高いエンジンだ。マツダは環境性能の優れた新しいエンジンとして、スカイアクティブXも用意するが、価格はX・Lパッケージが338万463円に達する。

 NAのガソリンエンジン車に比べると約68万円高く、クリーンディーゼルターボと比較しても約41万円上まわる。そうなるとマツダ車のなかで、最も買い得なエンジンはクリーンディーゼルターボだ。

 少なくとも日本のユーザーにとって、税額が多少高まっても、マツダのクリーンディーゼルターボは魅力的なエンジンであり続ける。エクリプスクロスがPHEVを加える代わりにクリーンディーゼルターボを廃止したこともあり、将来的な不安は濃厚だが、技術の完全否定はユーザーと世の中の双方にとってマイナスだ。

 ディーゼルの特性に前述のようなメリットがある以上、そしてモーター駆動を全車が採用する時代になってもエンジンの併用を続けるからには、欠点を克服して進化を続けるべきだ。

【画像ギャラリー】もう買えなくなる? 今日本で販売されているクリーンディーゼル車

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