BMW最後のコンパクトFR! 中古の先代1シリーズ&2シリーズクーペは買いか?

BMW最後のコンパクトFR! 中古の先代1シリーズ&2シリーズクーペは買いか?

 2シリーズよりも小さなモデルではFF化が進められているBMW。そのため、手頃なボディサイズで後輪駆動を採用するBMWとしては最後になるかも? と最近注目を集めているのが現行型2シリーズクーペ。

 それに、すでに現行型ではFFレイアウトになってしまった1シリーズは、先代型が最後のFRとして中古車での人気が上昇中。2シリーズクーペのほうは現行型だが、デビューから7年を迎えるため中古車が充分に流通している。

 まさにクルマ好きにとって注目の希少なFRのBMWである先代1シリーズと2シリーズクーペ。その中古車は、今「買い」なのか?

文/伊達軍曹  写真/ベストカー編集部

【画像ギャラリー】BMWのコンパクトFR、1シリーズ・2シリーズの内外装を写真でチェック!!


■クルマ好き注目の先代1シリーズ&2シリーズクーペ

 今の時代「FRであること」に過剰にこだわる意味はない……のかもしれないが、それでもやはり「ステアフィールのよさ」や「後輪が路面を蹴り出す感覚」が感じられるFR車に注目してしまうのは、クルマ好きの性(さが)あるいは宿命である。

 しかしながらFRレイアウトを採用するクルマは年々減少中で、ついにはあのBMWでさえ、2シリーズ以下のモデルでは着々と「FF化」を進めているという有様。

 まぁ次期型の2シリーズについては「クーペとM2だけはFRにする」との情報もあるようだが、今のところ「いちおう最後のBMW製FRマシン」である現行型2シリーズと、「最後のFR 1シリーズ」となった先代BMW 1シリーズには、クルマ好きとして注目しないわけにいかない。

 そこでここでは両モデルの「中古車」について、さまざまな検討を行ってみたい。

■先代BMW1シリーズは2015年のマイチェンで大きく変わった

 まずは先代BMW 1シリーズから。

 F20こと先代BMW 1シリーズが登場したのは2011年9月のこと。クラス唯一のFRレイアウトを採用した5ドアハッチバックで、上陸当初のグレードは116iと120i。エンジンはどちらも1.6L直4直噴ターボだが、最高出力は前者が136psで後者が170psだった。

F20型BMW1シリーズはフロント縦置きエンジン、後輪駆動のレイアウトにすることで理想的な重量配分を実現している。写真はマイチェン後モデル
F20型BMW1シリーズはフロント縦置きエンジン、後輪駆動のレイアウトにすることで理想的な重量配分を実現している。写真はマイチェン後モデル

 そして標準モデルのほか、デザインラインとして「スポーツ」および「スタイル」という2つの仕様も存在した。

 2012年5月には人気の「Mスポーツ」も追加し、同年8月には最高出力320psの直6ターボを搭載するM135iも追加。そして2015年5月のマイナーチェンジで、正直ちょっと微妙だった顔つきをイケメン系に刷新。同時にパワーユニットも改良し、116iは「118i」という車名に変わった。

 そして、ややこしいことに同年8月には118iのエンジンが1.6L直4ターボから1.5Lの直3ターボに変更され、2016年5月には2L直4ディーゼルターボの118dも追加された。

F20型 BMW 118iの直列3気筒1.5Lガソリンターボエンジン。最高出力136ps/4400rpm、最大トルク22.4kgm/1250-4300rpmを発生する
F20型 BMW 118iの直列3気筒1.5Lガソリンターボエンジン。最高出力136ps/4400rpm、最大トルク22.4kgm/1250-4300rpmを発生する

 さらに同年9月にはM135iが「M140i」に進化し、さらにさらに同年11月には120iのエンジンを新世代のモジュラータイプに変更。

 そして2017年8月には内装を微妙にリファインし、2019年8月に、ご承知のとおりFFとなった現行型1シリーズにバトンを渡した――、というのが、先代1シリーズの簡単なヒストリーである。「簡単な」というわりには長くなってしまったが。

 で、ここから先はスピーディに進めよう。

■後期型の1.5Lガソリン車、118iが狙い目

 肝心の「先代1シリーズの中古車」であるが、2015年5月のマイナーチェンジ前の前期型はハッキリ言ってデザイン的にカッコよくないため、あまりお薦めはしない。これから先代1シリーズを買うのであれば、どう考えてもイケメンに生まれ変わった後期型だろう。

 そのうえで進むべき方向は2つ。

 ひとつは「モデル末期の上モノを比較的安く買う」という方向性。2018年式あたりの最終型に近い118i Mスポーツ(新車時価格384万円)の走行2万kmぐらいの物件を、総額230万円前後で手に入れるのは、なかなかオシャレな行為だと言える。

 そろそろ3年保証が切れる年式ではあるが、うまくすれば5年間の延長保証が付いている物件もあるだろう。

 もうひとつの方向性は、総額160万円前後の予算で程よい塩梅の(2015年式で走行3万kmぐらいの)後期118iを買うという狙い方だ。総額230万円オーバーの末期バリ物ほどの“よさ”はないが、中古車としては非常にバランスのいい選択肢である。

 メーカー保証は切れているが、安く直す方法などいくらでもある(とはいえ国産車を直すよりはどうしても高くつきますが)。

【先代BMW 1シリーズの中古車データ】
●中古車該当年式:2011~2019年式
●中古車相場:40万~440万円
●流通量:★★★★★

■BMW2シリーズクーペはM235iに6MTも用意された

 お次は現行型2シリーズクーペについて。

 FRレイアウトを採用している現行型BMW 2シリーズクーペは、先代1シリーズをベースとする4座のクーペ。先代1シリーズクーペの後継モデルとして2014年2月に上陸した。

F22型 BMW2シリーズは流麗な2ドアクーペFRスポーツ。2シリーズにはほかにもハイパフォーマンスのM2モデル(F87型)が存在する(写真はF22型M235i)
F22型 BMW2シリーズは流麗な2ドアクーペFRスポーツ。2シリーズにはほかにもハイパフォーマンスのM2モデル(F87型)が存在する(写真はF22型M235i)

 本国にはディーゼルエンジン搭載グレードもあったが、まず日本に導入されたのは、最高出力184psの2L直4直噴ターボを搭載した220iクーペ スポーツと220iクーペ Mスポーツ、それにBMW M社がチューニングした最高出力326psの3L直6ターボを搭載するM235iクーペの3種類だった。

F22型 BMW M235iの直列6気筒3.0Lガソリンターボエンジン。最高出力326ps/5800rpm、最大トルク45.9kgm/1300-4500rpmを発生する
F22型 BMW M235iの直列6気筒3.0Lガソリンターボエンジン。最高出力326ps/5800rpm、最大トルク45.9kgm/1300-4500rpmを発生する

 トランスミッションは8速ATが基本だが、M235iクーペでは6MTを選ぶこともできた。

 2016年9月には、M社チューンの直6ターボを搭載するM235iクーペが340psの「M240iクーペ」へ進化し、同年11月には220iクーペ スポーツと同Mスポーツの直4ターボが新世代のモジュラーエンジンに変更された。

 そして2017年8月には内外装デザインの微妙な刷新と機能装備の拡充が行われ、現在に至っている――、というのが、現行型2シリーズクーペの超ざっくりとしたヒストリーである。

■BMW2シリーズクーペは前期モデルなら中古らしい安さがある

 で、ひと言で「BMW 2シリーズクーペの中古車」と言っても、初期の220iクーペ スポーツと末期のM240iとでは価格も性能も、もう何もかもが激しく異なるため、一概に何かを言うのは難しい。

 ただ少なくとも「手頃な予算で2シリーズクーペというコンパクトFRクーペのよさを味わいたい」のであれば、狙い目は2014年式の、つまりは最初期年式の220i クーペ Mスポーツだろう。これであれば、走行2万~3万km台あたりの好条件な一台を総額250万円前後で探すことができる。

 決して「格安!」と呼べる価格ではないが、まぁスペシャルティクーペというのは元来高めなものであり、「今どき珍しいFRのスポーティクーペ(しかもBMW製)」を手に入れるための価格だと考えれば、妥当な線だとはいえる。

 だが、もしも総額300万円ちょいのお金を投じる覚悟があるならば、BMW M社がチューンした直6ターボを搭載した「M235i」も充分に射程圏内となる。

 M235iの中古車の具体的な価格やスペックはもちろん千差万別だが、イメージとしては「走行3万~4万km台の2014年式M235iが総額320万円ぐらい」だと思っていただきたい。これまた決して安くはないが、「Mチューンエンジン」「直6ターボ」「FRクーペ」「BMW」という部分に大きな価値を感じるのであれば、決して高すぎるということもないだろう。

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