2018年3月29日に開幕したニューヨーク国際オートショーで世界初披露されたスバル新型(5代目)フォレスター。その興奮も冷めやらぬ4月9日、都内にてメディア向けに北米仕様車が初披露された。現時点で明かされた情報と新型の印象について紹介したい。
文:大音安弘
■長く、幅広く、低くなったボディサイズ
新型フォレスターは、インプレッサ、XVに続く新生代プラットフォーム「SGP」で開発された3番目のモデルだ。特徴のひとつにサイズアップがあり、全長4625(+15)×全幅1815(+20)×全高1730mm(-5)とややワイドになった。
ただこれをネガティブに捉える必要はない。その拡大分は、ほとんどキャビンの拡張に使われているからだ。
全長の拡大分に加え、前後のオーバーハングを切り詰めることで、ホイールベースを+30mmの2670mmとし、さらに後席スペースはそれを上回る33mm拡大。全幅の+20mmも、左右の座席間隔の拡張に充てられており、4名乗車時はもちろんのこと、5名乗車時もより快適となっている。
またラゲッジスペースも520Lを確保し、開口部を+134mmの1300mmまで広げた。これで9インチのゴルフバックを横向きでスムーズに収納できるという。
機能面では、先進の安全運転支援機能の「ドライバーモニタリングシステム」と進化版の「X-Mode」の採用が好評されている。
機能を簡単に説明すると、「ドライバーモニタリングシステム」は、車内のカメラでドライバーの顔認識を行い、アイサイトと協調させることで、居眠りやわき見の早期発見と警告を行うもの。さらに顔認証が可能で、最大5名のドライバーを設定でき、シートポジションやミラー位置などを自動的に調整してくれるという便利機能だ。
X-modeは、基本的な機能は従来同様だが、通常のONモードに加え、路面状況に合わせた「SNOW・DIRT」と「D SNOW・MID」の二つのモードを追加。より使いやすく進化させている。
■実物を見ると、確かに似ている。しかし……
さて、「現行型と似ている(あまり変わっていない)」という声の多い新型のエクステリアだが、確かに現行型のイメージを強く受け継ぎ、一目で「あ、フォレスターだな」と分かる。
ただ代り映えしないというわけではなく、実車を見ると、スポーツマンらしいカッコよさを得たと感じた。少なくとも写真を見ただけの段階よりイメージはいい。
シャープになったフロントマスクと鍛え上げられた肉体を連想させる抑揚のあるボディラインなどは、SUVらしいアグレッシブな印象を強め、若々しさも増している。
つまり、SUVとして正常進化を遂げているのだ。
そして忘れてならないのが、あくまでもスバルらしくという点。スバルデザインは長く愛せるスタイルと機能美を重視している。それが強く表れているのが、広いガラスエリアだろう。
近年のSUVは後部のガラスを絞り流麗なスタイルに仕上げているものも多い。ただスバルは、目視による視認性をしっかり確保するため、ガラスエリアを絞ることをしていない。
もちろん、SUVとしての機能は煮詰められており、ルーフレールの形状や全高を抑えながらも、最低地上高は従来同様に220mmが確保されている。
ただ乗り込んでみれば、新型であることを強く感じるはずだ。
現行型は質実剛健なデザインで不満はないが、洒落っ気は薄かった。いっぽう新型のインテリアは、現行型インプレッサ同様に進化版のインフォメーションディスプレイなどを採用。ナビゲーションシステムの位置も高められ、視認性も向上されている。
またシートやダッシュボード、ドアトリムなどのデザインやカラーバリエーションなどに工夫を凝らすことで、昨今のSUVに求められる上質感も与えるなど、押さえるべきところはきっちりと進化している点も見過ごせない。
ユニークなのが前席シートバックの収納で、新たにスマートフォンケースを設定。収納位置が低い点が気になったが、それは衝突時に、人との接触を防ぐためという。なんともスバルらしい配慮だ。
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