自販連の発表した2021年3月の販売台数ランキングで、トヨタ『RAV4』が17位:5334台と苦戦している。ここ最近は月4500台くらいで、17~18位くらいが定位置といった感じとなっている。
月5000台売れていれば、致命的な失速とは言えないが、最初が好調だっただけにその減速具合は目につく。身内だけでもヤリスクロス、ライズ、ハリアーと強力なライバルが増えたことで失速しているのか? それとも需要がひと回りしたからなのか? RAV4の販売状況について分析していきたい。
文/遠藤徹
写真/TOYOTA、編集部
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■販売店の認識としては「RAV4の売行きは悪くない」!?
トヨタの人気SUV『RAV4』がここに来て苦戦状態にある。この2020年3月の乗用車ブランド通称名ランキングは17位で、トヨタのSUVでのポジションは『ヤリスクロス』(1位)、『ライズ』(6位)、『ハリアー』(7位)に次いで4番手に後退している。
同月の登録実績は5334台、前年同月比15.1%もの大幅なマイナスである。ヤリスクロスは1万2898台、ライズは1万2272台、ハリアー1万428台でいずれも1万台の大台を突破しているのに、これらの約半分にとどまっているのは苦戦状態と表現しても差し支えないだろう。
現行RAV4が登場したのは2019年4月10日。発売後2年近くが経過しているので、需要一巡期に入るとも考えられる。ヤリスクロスが2020年8月31日、ライズが2019年11月5日、ハリアーが2020年6月17日といずれもRAV4よりも新しいので、まだ需要一巡期に入っていないために、売れ行き好調を保っているのは当然といえるかも知れない。
さらにRAV4にとっては不利になる事情もある。2020年6月8日に、待望のPHV仕様を追加したのだが、生産が追い付かず一時受注活動を取りやめた経緯がある。2021年に入って再開しているが、依然生産が追い付いていない。
この4月中旬現在の納期は8カ月待ちの2021年12月となっている。2020年6月に新型ハリアーが発売になり、絶好調の販売推移を見せているが、RAV4とユーザーが一部重なり、両モデルの購入を検討していたユーザーが最終的にハリアーに決めるケースが多いのが実情で、その分RAV4の売れ行きが悪化している事態になっている側面もある。
トヨタの開発陣や営業部隊の狙いとしては両モデルとも搭載するパワーユニットが2LガソリンNAと2.5Lハイブリッドだが、RAV4がラフロード走行向きで4WD車主体、対するハリアーはシティ走行向きで2WDが中心の仕様と分けている。
車両本体の価格帯はRAV4(PHV除く)が274万3000~402万9000円、ハリアーは299万~504万円であり、ハリアーのほうが高級仕立てという違いを設けている。それでもハリアーの存在がRAV4の販売にブレーキをかけているのは事実である。
ハリアーは2020年6月のフルモデルチェンジで従来のトヨペット店専売から、トヨタ全系列店併売に切り替えたこともRAV4との競合を加速させる要因となっている。RAV4は4WD車の販売比率をさらに引き上げようと2020年8月7日には4WD車専用の特別仕様車「アドベンチャー・オフロード パッケージ」を設定してラインアップを強化したが、今のところ効果は限定的に推移している。
今後の対応策としてはPHV車を増産して納期の短縮を図る、2022年中盤には現行モデル発売後3年が経過し、ビッグマイナーチェンジし商品ラインアップを強化再構築するなどが予想される。ただ販売店の営業担当者の見方はあまり気にしていない様子も伺える。
RAV4の売れ行きは確かに、前年実績比大幅なマイナスでヤリスクロス、ライズ、ハリアーには大きく引き離されているが、他メーカー社のライバル車と比べると3月の登録実績はマツダ『CX-5』が4846台で20位、日産『キックス』4801台で21位、マツダ『CX-8』4073台で25位、スバル『フォレスター』3646台で28位、日産『エクストレイル』2041台で38位となっており、RAV4のほうがずっと上位にあるからだ。
こうしたことを踏まえて扱うトヨタ系列店は、「RAV4は比較的好調に売れていると受け止めている。ほかの上位にあるモデルであるヤリスクロス、ライズ、ハリアーは別格で売れ過ぎているのだ。RAV4もPHVの生産が軌道に乗り、2022年中盤あたりにビッグマイナーチェンジすればもっと売れ行きは復活するようになるはずだ」(首都圏ネッツ店営業担当者)とコメントしている。
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