2010年12月から2年間、限定500台のスーパーカーとして生産されたのがLFAだ。販売終了した現在でも、レクサスのウェブサイトには、LFAを紹介するページが残されている。LFAは、レクサスのスポーツモデル「F」の頂点に君臨するクルマである。
レクサス販売店にとって、高額な500台(日本国内165台)限定車の取り扱いは、一大イベントであった。LFAは、レクサス販売店にどのように受け止められたのか、販売時や販売後には、どのようなことが起こったのだろうか。レクサス販売店で営業活動に従事していた筆者が、LFAにまつわる話を紹介していく。
文/佐々木亘 写真/LEXUS
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■LFAは「触れるのに覚悟がいるクルマ」
当時、レクサスラインナップのなかで最高額のクルマは、1510万円のLS600hL後席セパレートパッケージだった。
LFAは、これを大きく上回る3750万円(ニュルブルクリンクパッケージは4450万円)。これほど高額なクルマは、誰も扱った経験がない。注文を受けるにも、クルマを納めるにも、営業マンにとっては初めてづくしの活動になる。
LFAを購入するための予約期間は、2009年10月21日のお披露目から、半年間の予定だった。しかし、購入希望者が多く、半年を予定していた予約期間は4か月で締め切られる。2010年4月に抽選を行い、国内でLFAを手にするオーナーが決められた。
筆者がLFAに初めて触れたのは、レクサスの新規配属者研修の時である。富士スピードウェイ内にある「富士レクサスカレッジ」には、当時真っ赤なLFAが展示してあった。スーパーカーとしてのオーラは感じたが、あまりに身近すぎて凄みを感じるほどではなかったのを覚えている。
しかし、実際に販売店で点検整備を受けるLFAを目にしたとき、筆者はLFAに圧倒された。
展示車両とは違い、実際のオーナーが所有するLFAは、もはや触れることの許されない、結界を纏っているように見えたのだ。販売店内で点検整備のために、クルマを動かす際も、店全体に緊張が走る。LFAの乾いた咆哮が聞こえるたびに、背筋が伸びた。
レクサススタッフにとってLFAは、神々しさをも感じられる、特別なクルマである。
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