■特別な商談のために専用ミニカーも用意
LFAは販売方法も特別である。特にレクサスの旗艦店、レクサス高輪では、車両仕様を決める打ち合わせを、LFA専用の商談ルームでおこなっていた。打ち合わせ後には食事を振舞い、その後は試乗、そして契約書への捺印が行われる。
ボディカラーは標準色が10色でオプション色が20色、ステアリンググリップやシート、ドアトリムやセンターコンソールは各12色、ホイールは3種類、ブレーキキャリパーは6色など、内外装の組み合わせだけで、途方もない数の組み合わせになる。
まさに、世界に一つだけのLFAを作るべく、綿密な打ち合わせが続けられるわけだが、仕様が決まるまでには頭を悩ませるオーナーも多かったことだろう。注文書に記載された色や素材に間違いがないか、販売店でも入念な確認作業がおこなわれた。
通常のラインナップでも、内外装の仕様を決める際には、ラインナップごとに用意された、シート表皮やオーナメントパネルのサンプルを使用する。レクサスの商談では、実際の素材に触れてもらいながら、クルマの仕様を決めていくのが常だ。
しかし、LFAではさらに上をいく。レクサス高輪では、1/6の精巧に作られたミニカーが準備された。これは、プラモデルのように、シートやブレーキキャリパーなどは取り外すことができ、オーダー通りに組み上げると、その場でクルマの完成イメージを見ることができる。
LFAは、車両本体だけでなく、商談や打ち合わせにも、特別なこだわりを感じるクルマだった。
■レクサスが世界で存在感を示すためにいまLFAが「必要」
走行性能の高さや、官能的なエンジンサウンドを生み出したLFA。これは、ラグジュアリーブランドのレクサスにとって、新たな価値の提供であり、IS FやGS F、そして各ラインナップの“F SPORT”に、現在も脈々と受け継がれる、スピリットだ。
この、スーパーカーLFAの存在は、販売後に一部の販売店を悩ませる一面も持っていた。
一部の販売店からは、LFAが購入されてから、一度も定期メンテナンス(レクサスケアメンテナンスプログラム)を受けずに、オーナーと連絡が取れなくなったケースがあると聞く。所有目的ではなく、投機目的で購入されたLFAも、なかにはあるという事実だ。
大量生産が難しいスーパーカーは希少性が高くなり、土地や建物、宝石のように次々と転売されていくことも予想される。職人が丹精込めて作り上げたLFAが、レクサスのサービスを受けられないままに転々とするのは、車両販売に従事した者として寂しく思う。
販売店では、クルマをオーナーの元へ届けてから仕事が始まる。売るだけで終わってしまい、オーナーのカーライフをサポートできないのは、何よりも辛いことだ。
レクサスが、世界で存在感を示すために、LFAのようなスーパーカーを必要とする日は必ずやってくる。その時は、最高のクルマを作り上げるところにとどまらず、販売方法にもこだわってほしい。投機的な購入が、少なくなる販売方法を考えたい。
LFAのようなクルマが、希望するすべての人に届けられ、すべてのオーナーへ最高のサービスを提供できることを、レクサス販売店のスタッフは願っているはずだ。
最高の商品を、最高の販売・サービスで届け、高級の本質を追求し続けるために。
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