フラッグシップタイヤ『ADVAN』 はなぜ絶大な信頼を獲得したのか?【後編】

フラッグシップタイヤ『ADVAN』 はなぜ絶大な信頼を獲得したのか?【後編】

 横浜ゴムのフラッグシップブランド『ADVAN』 が世界のプレミアムカーメーカーに絶大なる信頼を獲得した背景は、本企画前編でお届けしたとおり、モータースポーツで培った確かな技術と開発能力が認められたから。さてではもういっぽうで、新車装着タイヤの開発とは、どのようなものなのか? ポルシェやメルセデスやBMWと一緒に新車開発するって…やっぱりしんどい??

 ベストカー編集部のタイヤ大好き梅木が、ADVAN Sportの開発設計者に直撃インタビューした本企画、怒涛の後編をお届けします!!【PR】

文/梅木智晴(ベストカー編集委員) 写真/YOKOHAMA、平野学

【前編はこちら】 フラッグシップタイヤ「ADVAN」はなぜ絶大な信頼を獲得したのか?【前編】

■ポルシェ911が開発能力を底上げ

 1988年にポルシェ車の新車装着タイヤとして『YOKOHAMA A-008P』が技術承認を取得したことは、横浜ゴムにとって、また『ADVAN』 ブランドにとって大きな転機となったことは間違いない。この当時のポルシェ911は930型と呼ばれるモデルで、その後の964型以前の、今となってはクラシックポルシェと呼ばれるモデルである。

 当時の開発現場の声を伝える資料では、ドライでのウルトラハイパフォーマンス面ではテスト評価当初から高い評価を得ることができたものの、耐ハイドロプレーニング性能を主としたウェット性能、ノイズ性能(低パターンノイズ、低ロードノイズ)、ZR規格に対応する高速性能を高次元でバランスさせて満たすことが非常に困難だったと記されている。

 世界を代表するスポーツカー、しかもRRという独特なレイアウトゆえに特殊な前後タイヤバランスが求められる911の新車装着技術承認に向けたタイヤ開発が、横浜ゴムの開発能力を飛躍的に底上げされたことは想像に難くない。

1988年、初めてポルシェの技術承認を取得した『YOKOHAMA A-008P』 。国内で市販されていた『ADVAN HF Type D』 の海外販売版をベースに開発されたものだ
1988年、初めてポルシェの技術承認を取得した『YOKOHAMA A-008P』 。国内で市販されていた『ADVAN HF Type D』 の海外販売版をベースに開発されたものだ

 ADVANとポルシェの関係はその後もさらに密に継続し、89年に964型にモデルチェンジした911カレラはもちろんのこと、928S4やGTの技術承認を取得。さらには911ターボなどにも新車装着されていく。

 2000年代に入ると、2001年にその後の『ADVAN Sport』につながる『A.V.S Sport』が986ボクスターの新車装着タイヤとなり、2005年には新開発された『ADVAN  Sport V103』が997カレラ4に新車装着される。

「前編」でもお伝えしているように、現在の718ケイマン/ボクスターには『ADVAN  Sport  V105』が新車装着タイヤとして採用されている。

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