横浜ゴムのフラッグシップブランド『ADVAN』 が世界のプレミアムカーメーカーに絶大なる信頼を獲得した背景は、モータースポーツで培った確かな技術と開発能力が認められたから。タイヤ大好き本誌編集部梅木が、ADVANブランドの歴史と進化を駆け足で紐解いてゆきます。【PR】
文/梅木智晴(ベストカー編集委員) 写真/YOKOHAMA、平野学
■グローバルプレミアムタイヤとして進化したADVAN
ADVANは横浜ゴムのフラッグシップブランドとして、その存在感をアピールしている。特に『ADVAN Sport』は横浜ゴムの技術の粋を結集したプレミアムタイヤとして、リプレイス(交換用一般市販品)のみならず、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、BMWをはじめとした欧州プレミアムカーの新車装着タイヤとしてつぎつぎと承認を取得している。
リプレイス用としては『ADVAN Sport V105』が最新モデルだが、新車装着用としては昨年4月より、さらにレベルアップした『ADVAN Sport V107』がメルセデス・ベンツAMG GLA、GLEやBMW X3などに装着されている。モータースポーツで培ったタイヤ開発技術をバックボーンに、欧州のプレミアムブランドカーメーカーとの新車装着タイヤ開発による高い開発知見により、グローバルプレミアムタイヤブランドとしてADVANは日々成長をしているのだ。
今回、改めて純正タイヤ承認されている『ADVAN Sport V105』を装着したBMW X3 xDrive 30eに試乗をしたのだが、PHEVということで重量があり、また相対的に重心高も高くなるSUVのX3でもカッチリした剛性感の高い操縦性は安定感があり、接地感の高さによる重厚感のある操舵感はまさにプレミアムカーの乗り味そのもの。
確かにケース剛性の高さによる乗り心地の「硬さ」は感じるのだが(さらにBMW用はランフラット仕様)、路面の継ぎ目のような段差を乗り越える際の“タタン‼︎”という入力に突き上げ感はなく、しっかりとタイヤが衝撃を吸収していることを感じる。そしてなによりも、その後の変形収束の減衰がよく、タイヤがいつまでも振動するということがなく“スッ”と収束するのでスッキリとした乗り心地を味わえるのだ。また、高周波の“シャー”というパターンノイズがよく抑えられていることも改めて確認した。
当然と言えばその通りなのだが、速度を上げて行った時の安心感は絶大。真円性が高く、また速度上昇による変形が抑制されているため、高速域での接地性に変化がなく常に安定した操舵反力を得られるのだ。今回の試乗では再確認はできなかったが、これまでの試乗経験から、ADVAN Sportの高いウェット性能は確認している。4本グルーブのいかにも優等生顔のトレッドデザインからもわかるように、高速走行時の排水性に優れ、確実な路面コンタクトを実感できるのだ。改めてADVAN Sport V105のハイバランス性能を確認することができた。
■モータースポーツから生まれた日本初のスポーツタイヤ
ベストカー編集委員の梅木です。現在56歳。クルマに興味を持ち始めた1980年代前半といえば、サーキットで赤と黒のカラーリングが印象的な『ADVANカラー』をまとったF2マシンやグループCマシンが存在感を示していたのを思い出す。
そう、現在40歳代半ば以上のクルマ好きにとって、ADVANはサーキット、そしてラリーフィールドといったモータースポーツと直結したタイヤのイメージを持っているはずだ。30歳代より若い方が抱いているイメージよりも、圧倒的に『ADVAN』はモータースポーツそのものだったのだ。
だから、冒頭で試乗インプレをお伝えしたように、ADVANブランドのフラッグシップタイヤが、なぜスポーツカーだけでなくSUVの新車装着タイヤになっているの⁉ という思いを抱くのも当然のことなのだ。このあたりの微妙な感覚、若い読者の方には今ひとつピンとこないかもしれないが、とにかく、それほどまでにADVANはモータースポーツだったのだ。
ADVANブランドのスポーツタイヤが誕生したのは1978年のことだった。最初のADVANはハイグリップ性能を重視したトレッドコンパウンドにウエットレース用トレッドパターンを刻んだ『HF』 だった。日本で初めてのストリート向けスポーツタイヤの誕生の瞬間だ。
しかし、あえて言わせてもらえば、私にとってのADVANは、1981年に登場した『HF Type D』 をおいてほかにない。トレッドアウト側にディンプル状のパターンを配した独特なデザインは、それまでのタイヤでは見たことのない表情で、あたかもウェット用レーシングタイヤのような迫力を感じたことを鮮明に覚えている。当時私は16歳で、まだ自動車の免許は持っていなかったが、セリカに『ADVAN HF Type D』を履いて山道を走る姿を思い描いたものだった。この時代、レビン/トレノはまだTE71で、あのAE86はまだ登場していなかった。この時私が憧れたセリカは、FR最後のA60系だ。
そして実際に何度も履いたのが『ADVAN GLOBA』 だった。1988年に登場した時の衝撃は、Type Dで感じた衝撃の再来だ。トレッドパターンはType Dのような強烈な個性はなかったものの、4本のストレートグルーブをベースに、左右非対称のV字カットされた「顔」は、いかにもレース用ウェットタイヤのような雰囲気でカッコよかった。「これだ!!」。当時の愛車スカイラインRSターボに履いてその強烈なグリップ力に驚嘆したのをつい先日のことのように思い出す。当時、若いクルマ好きはこぞってチューニングに力を入れ、足回りをいじり、エンジンに手を入れてパワーアップさせてドライビングを楽しんだものだが、ハイパワーチューニングカーの定番タイヤとなっていたのが『ADVAN GLOBA』 だった。
その後1992年『ADNAN NEXUS』に進化し、1995年に『ADVAN NEOVA』が登場する。大胆にもストレートグルーブを持たず、左右非対称V字カットされたトレッドデザインは、あの『ADVAN HF Type D』 をはるかにしのぐインパクト。NEOVAは進化を続け、今でもADVANブランドの主力タイヤの一角をなしている。
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