最後にして究極の「S660」は最高だった ホンダスピリッツの継承車 最終仕様を試乗!!

最後にして究極の「S660」は最高だった ホンダスピリッツの継承車 最終仕様を試乗!!

 2015年に登場した軽ミドシップスポーツ、S660。多くの人に愛されたその歴史も来年、終わる。

 これでS500からS800、そしてS2000と、ホンダスポーツの「S」の系譜が三度消えることになる。時代の流れを多分に汲んだ判断とはいえ、そのことに何も感じないクルマ好き、そしてホンダ好きはいないだろう。

 最後の特別仕様車「モデューロXバージョンZ」は、有終の美を飾れるか? 試乗の様子をお届けしたい。

※本稿は2021年4月のものです
文/国沢光宏 写真/ベストカー編集部 撮影/西尾タクト
初出:『ベストカー』 2021年5月10日号

【画像ギャラリー】これで見納め…!? S660 Modulo X Version Zをギャラリーで見る


■最後にして究極の特別仕様車

 S660が安全や騒音などの規制強化により(詳しい理由についちゃ後述します)2022年3月一杯で生産中止になるのを受け、モデューロは『バージョンZ』というコンプリートを出してきた。

 AもBも作らないウチ、最後のZになってしまったのが少しばかり残念です。はたしてどんな仕上がりになっているのか、袖ケ浦サーキットで全開試乗してみたので紹介したいと思う。

 購入を迷っているなら、ご参考に。※S660シリーズのオーダー受付はすでに終了しています

モデューロXバージョンZ特別色として「ソニックグレー・パール」を用意
モデューロXバージョンZ特別色として「ソニックグレー・パール」を用意

 ということでスペックを。バージョンZの特長になっているのが専用カラー。さらに70km/h以上になると立ち上がってくるガーニーフラップ付きのリアスポイラーも専用装備になっている。

 インテリアは専用の内装材とステアリングなどでスポーティフィールを盛り上げてますね。

多くの追加装備、専用装備が奢られ、最終特別仕様車にふさわしい内装とされた
多くの追加装備、専用装備が奢られ、最終特別仕様車にふさわしい内装とされた

 足回りにモデューロの減衰力5段階調整式ダンパーを組み込む。標準のS660のよさを、さらに引き出してやろうというのが開発の狙いという。

■バージョンZ、滑りやすい路面でも扱いやすい!

 1台目の試乗車はノーマル。久しぶりに乗ると、やっぱりよ~くデキている!

 ボディをしっかり作り込んであるため、軽自動車にありがちな安っぽさ、まったくなし。コーナー攻めても足回りのポテンシャルが高いため、むしろパワー不足感ばかり目立つ(笑)。

70km/h以上になると自動でせりあがるアクティブスポイラーもバージョンZではブラック塗装に
70km/h以上になると自動でせりあがるアクティブスポイラーもバージョンZではブラック塗装に

 5000回転くらいから、ひと伸びするようにロムチューンしてやれば(80ps‌程度ならエンジン本体に手を加えず出るそうな)、すんごく楽しいクルマになるだろう。

 続いて期待のバージョンZに乗る。

 5段階調整式のダンパーがよい仕事をしており、サーキットのレコードラインすべてに水を撒き、滑りやすい状態にしているなか、滑ってもコントローラブル。

ステルスブラック塗装とされた精悍なアルミホイール。フロント=15×5J、リア=16×6.5J
ステルスブラック塗装とされた精悍なアルミホイール。フロント=15×5J、リア=16×6.5J

 ミドシップって限界特性がシビアになりがちなれど、ガンコなアンダーステア出ないし、テール流れた時の挙動だって、いたってジェントル。いいクルマです。

 このまま100psくらいまでパワーアップしたら超素敵なスポーツカーになりそう。

放熱性を考えたドリルドのディスクローターと、耐フェード性に優れたスポーツブレーキパッド
放熱性を考えたドリルドのディスクローターと、耐フェード性に優れたスポーツブレーキパッド

次ページは : ■生産中止の背景

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