好調に売れた人気車のフルモデルチェンジは難しい。売れ行きは伸びて当たり前、そうでなければ販売ランキングの上位に入っても「失敗作」といわれる。
「変える」ことが難しいなかで、ヒット作の良さを継承し、さらなる人気を誇ったモデル、そして残念ながら人気を落としてしまったモデル。その差はいったい何なのか? 人気車の「次」に挑んだクルマの足跡を追った。
文/渡辺陽一郎
写真/編集部、HONDA
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ホンダ 2代目N-BOX/2017年
ホンダには2代目は売れないジンクスがあるという。たしかに2代目シティ、2代目CR-Vなどは伸び悩んだが、初代の功績を生かして一層多く売れた車種もある。
20年ほど前までのホンダには「フルモデルチェンジは先代型を否定せねばならない」という風潮があって失敗作も生じたが、今は状況が変わった。
その象徴が現行型の2代目N-BOXだ。先代型を否定する風潮に反して、初代の広い室内、多彩なシートアレンジ、バランスの取れた外観といった特徴を受け継いだ。そのうえで内外装の質をさらに高め、乗り心地も向上させている。安全装備を進化させ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどの運転支援機能も加えた。
その結果、2代目N-BOXの売れ行きは、注目を集めた初代を上まわる。初代N-BOXは発売の翌年となる2012年に月平均で約1万7600台を届け出したが、2代目は発売翌年の2018年に、月平均で2万台以上を届け出している。
初代のヒットによって膨大なN-BOXが保有され、その内の多くのユーザーが2代目に乗り替えたから、届け出台数がさらに増えた。また小さなクルマを購入するユーザーが従来以上に増加して、フィットなどからの乗り替えが進んだことも、2代目N-BOXが好調に売れた理由だ。
ホンダ 2代目フィット/2007年
初代フィットは2001年に発売されてヒット作になった。発売時点ではエンジンは1.3Lのみで、グレードも3種類に限られたが、発売の翌年となる2002年には月平均で約2万900台が登録されている。この年の初代フィットは、軽自動車まで含めた国内販売の総合1位になった。
問題の2代目フィットは、2007年に発売されて、初代の機能をさらに高めた。新開発された1.3L・VTECエンジンを搭載して動力性能と燃費を向上させ、横滑り防止装置などの安全装備も充実させている。
発売の翌年となる2008年の登録台数は、月平均で約1万4600台だ。好調ではあったが、初代の2002年に比べると登録台数は約70%に留まる。N-BOXに似たパターンのフルモデルチェンジながら「2代目の売れ行きは冴えない」といわれた。
そこで2010年にはハイブリッドを加え、2012年(2011年は東日本大震災で落ち込んだ)には、月平均で約1万7400台を登録している。それでも初代フィットは抜けていない。
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