7月12日から、首都・東京に今年4度目の緊急事態宣言が発令された。期限は8月22日。つまり東京五輪は緊急事態宣言下で行われることとなる。
対して、2ヶ月以上先のモータースポーツの国際イベントは中止の報が相次いでいる。
五輪はOK、モータースポーツはNOの矛盾に、段 純恵氏が鋭く切り込んだ。
※2021年8月18日編集部追記。2021年の「F1 Honda 日本グランプリ」の中止が発表されました。コロナ禍のためではあるものの、悔しい、無念……。
文/段 純恵、写真/GAZOO Racing、HONDA
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■緊急事態宣言下に開催される東京五輪
この原稿を書いている7月12日から、首都・東京に今年4度目の緊急事態宣言が発動された。
期限は五輪閉幕の来月22日である。もっとも米国出身の某TVプロデューサーが皮肉っているように、緊急事態宣言への免疫がついたのか、通勤電車もいつも通りの混み具合ならば、お昼時のスーパーのレジにもマスク姿の老若男女が列をなしている。
しかも、ここ数週間、続々と日本に入国している五輪関係者に目を向けると、特例措置である3日間の強制ホテル缶詰を経た後、それぞれの宿泊先等へ移動するのだが、彼らが宿とそれぞれの持ち場との往復に徹しているという確かな保証はどこにもない、というなんともザルな緊急事態にして感染対策ではあるのだが。
それにしても、緊急事態宣言下においても五輪は開催するというのに、なぜ2ヶ月以上先のモータースポーツの国際イベントは中止になるのか。6月23日のモトGP、そして7月7日に発表された世界耐久選手権(WEC)日本大会の開催中止の報に触れて首を傾げた人も少なくなかっただろう。
■誰もが思っていたとおり、五輪は「特別扱い」なのだ
結論を先に言うと、いま日本において超法規的措置が許されるイベントは、五輪だけだからだ。
超法規的措置とは、国家が定めた法律などで規定された範囲を超えて、実定法上の根拠に欠ける措置を行政が行う特別な行為のことをいう。
乱暴な言い方をすると、法も規則も世論も何もかもブッ飛ばしてOK、責任の二文字は誰の辞書にも載ってませーん! とでもいうような融通を利かしてもらっているのが五輪開催と世界オリンピック委員会(IOC)等の関係者で、その真逆の立場にあるのがモータースポーツ他のイベントということになる。
国会で決まったわけでも内閣の首長が宣言したわけでもないが、そうとでも考えないことには2兆6千億円超という五輪史上もっとも経費のかかる、なのに現地観戦できる日本国民がほとんどいないという矛盾に満ち満ちたイベントに、我々の血税がツッ込まれている理由の説明がつかない。
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