このところ、高速道路の料金を改定する動きが目立っている。
すでに決定済みの東京オリンピック・パラリンピック(以下五輪)開催期間中の首都高速特別料金はともかくとしても、その後も都市高速、一般高速道路での料金制度を改革する論議が活発化しているのだ。
キーワードは「機動的な料金制度」。
現在の距離で決めている料金ではなく、交通量が多い時間帯や路線は料金を高くして車両の流入量を減らし、その逆では安くする、というものだ。
これらの高速道路料金の動きをお伝えする。
※本稿は2021年6月のものです
文/清水草一、ベストカー編集部 写真/AdobeStock、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年7月10日号
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■東京五輪開催中の首都高料金はこうなる
2021年6月3日現在、開催が100%決まったわけではないが、東京五輪開催中の首都高速特別料金が発表された。
詳細は下の表のとおりで、東京都内の路線は午前6時から午後10時が+1000円、午前0時から4時までが半額となる。対象は乗用のバイクとクルマで、タクシー、バス、トラックなどの商業車は除外される。
もちろん、渋滞を抑えるためだが、早朝から夜まで+1000円というのは相当な上げ幅。
もはや「五輪期間、乗用車は首都高に乗るな」と言っているに等しい状態で、一般道も首都圏では多くの交通規制が予定されており、また、首都高速入口の閉鎖もかなりあり、五輪期間中はクルマでの移動は諦めたほうがよさそうだ。
お盆休み中の8月10日~23日は対象外ということだけが救いかもしれない。
■2022年4月より首都高の新料金がスタート
東京五輪開催中の首都高速の利用は我慢すればすむ話だが、実は、来年4月から首都圏の高速道路の料金制度も変わる。
最大のポイントは首都圏都市高速の最大料金が引き上げられることだ。
2012年1月から始まった距離別料金制の「激変緩和措置」が解除されることで、現在の料金上限距離35.7kmが55kmに延ばされる。
その結果、最大料金は1320円から1950円に引き上げられるのだ。
そして、将来的にはこの55kmの上限も撤廃されることが確実視されている。
首都圏の都市高速も一般高速道路と同じ完全距離別料金となり、例えば横浜横須賀道路の並木から首都高埼玉新都心線のさいたま見沼までの86.6kmは2980円となる。現在の1320円から2倍以上。
国交省が言う「公平な料金制度」という意味では確かにそのとおりかもしれないが、2倍以上の値上げというのはインパクトが大きい。
55kmの上限撤廃がいつになるかは未定だが、ここまで具体的に試算されているのだから、数年以内に始まるのは確実と見ていいだろう。
その分、来年4月から0~4時の深夜割引の導入(20%割引)、商業利用者のための大口・多頻度割引の拡充(最大割引幅35%から45%に)などの施策も取られるが、一般ユーザーへのメリットはほとんどない。
なお、「激変緩和措置」の解除は首都高のほか阪神高速、第三京浜、京葉道路でも予定されている。
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