日本のライトバン市場を牽引しているトヨタ プロボックス。働くプロ御用達のクルマとして、高い人気を誇っている。実質的なライバルは日産 ADバンだが、販売台数はダブルスコアに近く、プロボックスが完勝だ。
トヨタで営業活動に従事していた筆者は、プロボックスに対するさまざまな評価を、多くのユーザーから見聞きしてきた。その話を紐解いていくと、働くプロたちがプロボックスを支持する理由が見えてくる。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】圧倒的じゃないか……!! 働く人々に熱烈に支持されるトヨタ プロボックス
■プロボックスは法人のみならず個人ユーザーも満足させる
今や商用車といっても、そのユーザーは法人だけではない。アウトドアレジャーに対するニーズの高まりなどから、商用車を個人所有する動きが加速している。
この動きは、ハイエースはもちろん、プロボックスでも顕著だ。カスタマイズに力を入れるトヨタディーラーでは、プロボックスをキャンピング仕様にカスタマイズし、個人オーナーに向けてアピールしていた。
販売店では、プロボックスやハイエースを法人向けと決めつけず、個人へと販路を広げたい思いがあるのだろう。
2018年11月に行われたマイナーチェンジで、プロボックスにハイブリッドモデルが追加された。WLTCモード燃費は22.6km/Lとなり、衝突被害軽減ブレーキは歩行者検知までをしっかりとおこなう。
もはや商用バンだからといって、簡素で質素に割り切ったクルマではなくなった。プロボックスは、乗用車と遜色なく、個人ユーザーから法人の社用車として乗る人たちを、広く満足させられるクルマになっている。
■「トヨタのバンを入れてから従業員がクルマの取り合いするようになった」
では、実際にプロボックスの魅力は何なのだろうか。積載性や室内の機能性に目が行きがちだが、実際のユーザーの声で、最も多く挙がるのが「運転のしやすさ」と「乗り心地の良さ」である。
朝8時から夕方5時まで、クルマで移動するという営業マンは多い。そのなかで、運転するだけでクタクタになるクルマは、営業に不向きである。
スポーツカーのような運動性能や、ミニバンのような居住性の高さが必要なわけではないが、疲労感が少なく運転操作ができるクルマは、効果的な営業活動をおこなううえで、良い相棒となるだろう。
筆者が販売店で営業活動に従事していた時、プロボックスを使用してもらっていた会社の社長から、こんな話をされたことがある。
「トヨタのバンを入れてから、従業員がクルマの取り合いするようになった。昔から他社のバンを使っていたけど、新車を入れたからといって、その新車を従業員が取り合うなんてことはなかったんだ」
「なんでだろうって思って、私も乗ってみたら、その理由がわかったよ。バンなのにフニャフニャしてなくて、乗りやすい。多くの社員が気に入っているから、他のバンがダメになったら、またトヨタのバンをお願いするよ」
どこか頼りないイメージがある商用バンだが、プロボックスのシートには充分な厚みとホールド感があり、クルマはガッシリと硬く、ステアリング操作に対するレスポンスが良い。筆者も仕事で、一日中プロボックスを運転したことが何度もあるが、下手な乗用車よりもロングドライブが快適なのだ。
機能性の高さに目が行きがちだが、プロボックスの真価は、ドライバビリティの高さにある。手を抜かないクルマ作りの姿勢には、働くプロたちも太鼓判を押す。
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