オリンピックはOKなのになぜ!? MotoGPもWECも中止で日本での世界選手権はどうなるのか

■許可申請を出しても開催可能となるのは数年後!?

今季もWECとのかけもちでスーパーフォーミュラに出走する中嶋一貴。入国にもう少し融通を利かせてくれたら……というのが率直な思いだろう
今季もWECとのかけもちでスーパーフォーミュラに出走する中嶋一貴。入国にもう少し融通を利かせてくれたら……というのが率直な思いだろう

 モータースポーツに話を戻そう。

 6月11日に、モータースポーツに公益性が認められていないことをお伝えしたレポート(リンク先)をアップした。

 その後も、3大自動車メーカーや二輪・四輪のモータースポーツ関係者がタッグを組み、国内で開催されるレースイベントに参加する外国人選手やチーム関係者、海外と往来する日本人選手の入国に、五輪選手や関係者に認められているのと同じ特例を認めてもらえるよう、スポーツ庁を通しての相談、陳情など、熱心な活動は続いていた。

 複数のモータースポーツ関係者から聞いた、途中経過の話を総合するとこうなる。

1)これまで『スポーツじゃなくて興行でしょ?』と考えているフシのあったお役人様たちも、モータースポーツに対する考えに少し変化が感じられた。特に行政機関の窓口となっているスポーツ庁は、モータースポーツ界に対し、好意的に対応してくれている。

2)五輪関係と同等の入国特例を求めるには、そのための準備&検討案の提出が必要である、と各省庁の関係者から示唆された。

3)その提出先として、スポーツ庁を窓口に外務省、出入港管理局、厚生労働省、警察、内閣官房室と多岐にわたり、最終的には日本国内閣総理大臣の許可が必要になる……

 とまぁ、ここまで書いただけで筆者などは「そりゃ無理だ」と思う。なぜなら行政省庁との折衝が3ヶ月や4ヶ月、どころか1年や2年で終わることなどないからだ。

 ’19年に五輪の前哨イベントとして開催されたラグビー・ワールドカップの会場のひとつとなった某県の担当者と話したことがあるが、会場候補に挙がって(ほぼ内定状態)から開催まで、様々な折衝やあらゆる準備だけで6年近い時間が必要だったと言っていた。

■今の状況下での国際大会開催は難しいか

二週間の隔離期間を考えると、どこかのタイミングで欠場せざるをえない。そして中嶋一貴いわく、その隔離期間のホテル暮らしが心身にかなり堪えるようだ
二週間の隔離期間を考えると、どこかのタイミングで欠場せざるをえない。そして中嶋一貴いわく、その隔離期間のホテル暮らしが心身にかなり堪えるようだ

 何よりこのコロナ禍において、海外からの渡航者が大挙押し寄せるイベントの開催は、どんな大企業であっても私企業がカバーできる範囲を超えている。

 入国者全員の検疫、隔離、繰り返されるPCR検査とその結果への対応、関係者を分散させないよう、参加者やチーム全員が宿泊できる規模のホテルを何棟も丸ごと借り上げ、そこから会場までの往復を全体移動させる手段や手配、ルート操作などの様々な準備、膨大なスタッフの手配etc……。

 これらすべての対応を数ヶ月の準備期間で可能にするのは、超法規的措置が許されるイベント=五輪しかありえない。その五輪でさえ人員が不足気味らしく、開幕まで2週間を切った今日になってもまだ某大手派遣会社を通じてスタッフ募集をかけている。

 長年モータースポーツを取材してきた者として、世界戦が日本で開催されないことは残念でならないが、現実問題を考えると、10月の第2週末に予定されているF1世界選手権の開催も恐らくは厳しい状況だろう。

 それでも、今回のことで二輪、四輪、カテゴリーやメーカーの枠を超えて、モータースポーツ業界全体が一致団結し、行政庁へ自分たちの存在や活動の意義をアピールしたことは本当に良かったと思う。

 今後もこの活動が継続され、その成果が来年の国際大会開催や外国人選手らのスムーズな入国という形になることを切に願っている。

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