憂鬱な雨の日がつづいた梅雨が明けると、夏の行楽シーズンがやってくる。残念ながら、今年の夏も感染症対策が必要なため、旅行など遠出の計画はやめ、マイカーで近場へお出かけ、という方は多いだろう。
近場へのドライブでも、工夫次第で十分に楽しめるものだが、そんなせっかくのドライブに水を差しかねないのが「クルマ酔い」だ。特にお子さんがクルマに酔いやすい、というかたにとっては、ドライブを計画するにあたって、悩みのひとつだと思う。
クルマ酔いは、酔いやすい人と酔いにくい人など、体質によるところもあるが、ドライバーの運転操作や、事前の準備などで、ある程度回避できることもある。同乗者のクルマ酔いを防ぐ、3つのポイントをご紹介しよう。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_yamasan
写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】クルマ酔いは防げる!! クルマ酔いを防ぐポイントをクイックチェック!!
まずは原因を突き止めよ!!
クルマ酔いには、さまざまな要因がある。もともと体調がよくなかったり、食べ過ぎや空腹の状態でクルマに乗るとクルマの揺れで胃が刺激されるため気分が悪くなる。また、走行中のクルマの中で本やスマホを見ていたり、ドライバーの運転操作が荒いと、「体感情報」と「視覚情報」にズレが生じ、自律神経のバランスが崩れることで、クルマ酔いの状態となってしまう。
そしてお子さんに多いのが、「クルマの臭い」によるクルマ酔いだ。子供は大人よりも臭いに敏感。嗅覚は、脳を直接刺激する。その刺激が自律神経を刺激することで、クルマ酔いを引き起こしてしまうのだ。
そして、やっかいなのが、一度その臭いでクルマ酔いとなってしまうと、同じ臭いを嗅いだだけで気持ち悪くなる、という状態に陥ってしまうことがあることだ。クルマに揺られて酔うわけではなく、クルマに乗ったとたんに気持ち悪くなる、というケースはこの臭いが記憶されてしまっている状態にある、と考えられる。
1.ブレーキは止まる瞬間に「ちょっと抜く」
クルマ酔いを防ぐには、できるだけ揺れの少ない丁寧な運転をすること。そのために最も重要なのが、アクセルペダルとブレーキベダルの操作だ。
ブレーキ操作のポイントは、減速Gを一定に保つこと。いわゆる「カックンブレーキ」になりやすいドライバーは、ブレーキペダルの踏み方が荒いか、前方をぼんやりと見ていることが多い。この場合、クルマが止まる瞬間に、ブレーキを踏む足の力を「ちょっと抜く」だけでも、同乗者の頭が「ガクン」となることを減らせる。
減速Gの変動(ジャーク:加速度の変化が小さい)を少なくし、同乗者がいつから減速し始めたか分からないような運転ができれば、素晴らしい。これには、ブレーキペダルの踏力を、わずかに調節する足技が必要となる。自動車メーカーのテストドライバーでも苦労をする足技だ。
また、アクセルペダルについても、操作が荒く、速度が乱高下することは当然ご法度。靴の中の足の親指のわずかな力のかけ具合で、アクセルペダルを、1ミリにも満たない幅で、踏みこむ量をコントロールするくらいの精度でコントロールができれば、クルマはまるで新幹線のようになめらかに進む乗り物となり、同乗者は酔いにくくなる。
だがもうひとつ、アクセル操作が原因となるのが、「スピードの出し過ぎ」だ。例えば、普段は60㎞/hで走っているコーナーを、20%ほど速い72km/hにしただけで、身体が受ける左右加速度は1.45倍にもなる。
速いスピードで、道路のうねりやギャップを超えるたび、同乗者はより大きく揺すられて、クルマ酔いの原因となってしまう。平らな道路に見えても、道というのは必ず凹凸がある。そうした道を走ると、クルマはどうしても揺れを起こす。その揺れを極力抑えるには、とにかく、「スピードを落とす」に尽きる。
同乗者が乗っているのに、スピードを必要以上に出してしまうのは、下手くそドライバーの自己満足でしかない。
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