2021年7月、愛車のRX-7を目の前で盗難されたオーナーが、その動画をSNSアップしたことで話題になった(その後、愛車は無事に発見された)。近年、スカイラインGT-RやRX-7、チェイサーなど人気の高い旧車の盗難に関するニュースを多く目にするようになっている。
一般的に、旧車がプロの窃盗団に本気で狙われれば、オーナーがある程度対策をしていたとしても、かなりの高確率で盗まれてしまうという。
では、どのような場合に盗難に遭うのか。そして、不幸にも盗難されてしまったら、愛車を取り戻すために何ができるのか、傾向と対策についてまとめた。
文/柳川洋 写真/フォッケウルフ、マツダ メイン写真/buritora-Stock.Adobe.com
■窃盗団の典型的な手口とは?
まずは、自動車窃盗団が、旧車を盗む際の典型的な手口について紹介しよう。
旧車の場合、イモビライザーやスマートキーが装備されていないため、物理的に車両に侵入するケースがほとんど。窓の隙間から工具を差し入れてドアを解錠したり、工具で鍵穴や窓ガラスを破壊して車内に侵入。ステアリングロックなどを破壊してメインキーシリンダーを分解し、エンジンを始動させて乗り去るのだ(あくまでも典型的な例ということで、これ以外の手口も当然ある)。
R32型スカイラインGT-RやFD3S型RX-7のような人気モデルの場合、オーナーがクルマを大事にしていて盗難対策をとっている可能性が高いため、窃盗団はセキュリティ機器が装着されていることを警戒する。盗難対策としてGPS機器が設置されていた場合、盗んでいきなりアジト(基地)に移動させてしまうと、警察にアジトを簡単に突き止められ、一網打尽になってしまうリスクがある。
それを避けるため、盗んだクルマを駐車場などに数日“寝かせて”、持ち主や警察の動きがないことを確認した後で、アジトへ移動させる。この時、鉄道の高架下や地下にある駐車場は、暗がりも多いうえに人目に付きにくく、さらにGPSの電波も遮断されやすいので窃盗団にとっては好都合なのだという。また、セキュリティ機器への電源供給を断つため、駐車する際に車両のバッテリーを外すこともある。
いよいよアジトへクルマが運ばれる際には、ナンバープレートが付け替えられる可能性が高い。被害届が出ているナンバープレートだと、高速道路の料金所やNシステム、Tシステムなどの自動ナンバー読み取り装置で警察に捕捉されてしまうため、放置車両から外したものや、いわゆる「ディーラーナンバー」と言われる赤枠の仮ナンバーに付け替えられる。
アジトとなるのは人目につかないフェンスで囲まれたヤードなどで、そこからコンテナに積まれたり、ヤード内でハーフカット状態にしてから、海外へ密輸出されることになる。
チューニングカーはそのままだと国内では足がついてしまう可能性が高いので、海外へ売られていくケースが多いが、いわゆる「ニコイチ」、つまり他の事故車などと合体させて真正な車両として登録、販売されるケースもある。また一部のパーツのみ、中古パーツとしてインターネットで売られることもある(詳細は後述)。
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