TYPE Rシリーズの刺激に注目が集まるHONDA。しかし、アコードユーロRを忘れてはならない。
「お父さんのセダン」のような出で立ちをしつつ、中身はTYPE R譲りのK20Aエンジン+6MTというバリバリタイプRの流れを受け継いでいる。
そんな能ある鷹は爪を隠す的な羊の皮を被った狼的なEURO Rとは?
文/加茂 新、写真/HONDA
【画像ギャラリー】おとなしい見た目をした本気のカタマリ!! ホンダのもうひとつの『R』アコード EURO Rは楽しいぞ!!
■タイプRとは異なる本気の塊が「EURO R」
初代アコードEURO R(CL1)は2000年に登場。当時すでに「TYPE R」がホンダのスポーツを牽引しており、NSX(NA1)TYPE R、DC2/DB8、EK9などが登場していた。ソリッドな切れ味鋭いエンジンに軽量ボディのTYPE Rは瞬く間に人気になった。
当時欧州仕様のアコードには「TYPE R」があり、国内仕様のアコードにもTYPE Rが登場!? と思われたが、ラインアップされたのは「EURO R」だった。
ちょっとTYPE Rとは毛色の異なるキャラクターにがっかりした声も聞かれたが、アコードという高級路線のセダンをベースに、スポーティさは高めつつも大人な乗り味を実現したことで人気を獲得した。
この初代EURO Rはプレリュード譲りの2.2Lエンジン(H22A)を搭載。5MTが組み合わせられた。内装はレカロ製セミバケットシート、モモのステアリングなどを採用。高級感のある内装とシックなデザインが相まって大人のスポーツとして人気になったが、わずか3年後の2002年に販売を終了した。
そして登場したのがCL7だ。エンジンはDC5インテグラTYPE Rと同じK20Aを採用。
吸気・排気どちらのカムシャフトにもVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)とVTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)を採用。ホンダらしく吸排気のポート形状にこだわり、インテークやエキゾーストの抵抗も極力抑えた。
エンジン内部はモリブデンコーティングスカートの非対称高強度ピストンを採用。さらにDC5のK20Aにはない2次バランサーを追加して振動を抑制。振動と質感のアップに成功した。あふれるパワーとEURO Rらしい高級感、どちらの獲得にも成功したのだ。
先代から排気量は減ったが最高出力は220psを継続。トルクは21kgm。ミッションはアコードでは唯一となった6MTを採用。サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアをマルチリンクとしてしなやかな乗り味を実現。
のちに名機と呼ばれるK20Aを専用チューンで搭載し、6MTを組み合わせるパワーソース。スポーティな走りを想定して純正でトルセン式LSDまで装着してある。6MTはシフトタッチの剛性感が高く、普段乗りからシフト操作が楽しいので、いつでも愛車を楽しめる。
見た目はあえてベースのアコードと大差ない落ち着きを持たせる。そんな能ある鷹は爪を隠す的なクルマが2代目アコードEURO Rなのだ。
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