2020年10月30日に発売されたホンダのEVシティコミューター、ホンダe。
このホンダeを購入したモータージャーナリストの片岡英明氏に気に入った点、不満な点はどんなところにあるのか聞いてみた。またホンダeの1充電あたりの航続距離はWLTCモードで259~283kmだが、実際走ってどのくらいなのだろうか?
さらにEVを購入する人にとって、気になるのが1充電あたりの航続距離と価格。これまでEVに10万km以上乗ってきた筆者が、どれくらいの航続距離、価格だったら満足するのかも聞いてみた。
文/片岡英明
写真/片岡英明、ホンダ、トヨタ、WULING MOTORS、ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】ホンダeに5000km以上乗った筆者が感じる不満とは?
■ホンダeを購入してから早9ヵ月になる
BEV(純電気自動車)のホンダeが我が家に来て、この8月で9ヵ月になる。販売価格は高いし、海外への供給を優先しているため、年間販売台数1000台だから街で見かけることはほとんどない。
ホンダeのラインナップは、136ps/32.1kgmの標準グレード、ホンダeと154ps/32.1kgmのホンダeアドバンスの2モデル。リチウムイオンバッテリー容量は両グレードともに35.5kWh。一充電あたりのWLTCモードの航続距離はホンダeが283km、ホンダeアドバンスが259km。
価格はホンダeが451万円、ホンダeアドバンスが495万円。CEV補助金はホンダeが32万円、ホンダeアドバンスは27.2万円。環境省補助金(最大環境省補助金条件:再エネ100%電力調達にし、4年間のモニター制度等へ協力が必要)だと、ホンダeは66.1万円、ホンダeアドバンスは55.1万円の補助金が受けられる。
ホンダeを走らせていると今でも注目を集め、視線を感じる。最初の半年で箱根は何度も往復しているし、軽井沢や那須、静岡などにも遠征した。
今、世界中が地球の温暖化防止と脱炭素社会に動き出し、急激な電動化に舵を切るようになったからEVが注目を集めている。
欧州をはじめ、世界最大の自動車市場を誇る中国、米カリフォルニア州、そして日本や東京などの各都市などが、純ガソリン車、純ディーゼル車の新車販売を2030~2040年にかけて禁止する政策を打ち出してきている。
2021年7月14日にはEU(欧州連合)のEU委員会は2035年にハイブリッド車を含む純エンジン車の新車販売を禁止する包括案を公表した。
自動車メーカーでは、トヨタが2021年5月に2030年に電動車の世界販売台数を800万台とする新たな目標を発表。その800万台の内訳はEVとFCVが約200万台、ハイブリッドとPHVが約600万台とされている。ホンダも2040年に世界での販売のすべてをEVとFCVとすると発表。
メルセデス・ベンツやボルボは2030年までに全車EV化する計画を明らかにしている。世界の自動車メーカーが電動化への道へまっしぐらといった様相だ。
ここでEVオーナーが一番気にしているであろう、1充電あたりの航続距離を見ていきたい。
過去を振り返ってみると、世界で初めて三菱がi-MiEVを、これに続いて日産がリーフを送り出し、日本はEVの先陣を切った。だが、その後の伸びは緩慢で、欧米と中国に一気に抜かれている。
確かに第1世代のEVは航続距離が短かった。i-MiEVもリーフも実際に安心して走れる距離は100km前後だ。エアコンをガンガン効かせて荒っぽい運転をしたり、バッテリーの劣化が著しいと100kmも走れないことが多い。だから多くの人はEVを敬遠した。
テスラに始まる第2世代のEVはバッテリー容量を増やし、航続距離を大幅に延ばしている。2代目リーフは標準仕様で40kWhのリチウムイオンバッテリーを積み、上級のリーフeプラスは62kWhだ。リアルワールドでの走行状態に近づけたWLTCモードで458kmの航続距離を達成し、標準仕様でも322km走れる計算となっている。
テスラはバッテリーを中国CATL製としたことでモデル3の値下げを断行。リーフeプラスのXグレードより販売価格は安い。それでいて航続距離448kmを実現した。ジャガーI-PACEは4WDでありながら大容量バッテリーを積むことにより、リーフ並みの438kmの航続距離を達成している。
また、フォルクスワーゲンが2022年以降に日本導入を予定しているハッチバックのBEV、ID.3は、最大で77kWhのバッテリーを搭載している。
車両のフロア下に効率よく搭載されたリチウムイオン電池の蓄電容量および1充電あたりの航続距離はそれぞれ45kWh/330km、58kWh/430km、77kWh/550kmとなっている。このほかSUVのID.4やミニバンのID.BUZZの販売も決定している。
そして500kmの大台を超えてきたのが期待の日産アリアである。
2021年6月4日、日産アリアの日本専用特別限定車「アリアリミテッド」が発表され、予約注文が開始された。価格は660万~790万200円(省庁や自治体の補助金を差し引くと実質約500万円~)。
バッテリーの総電力量、一充電あたりのWLTC航続距離は、B6の2WDが66kWh/450km、B9の2WDが91kWh/610km、B6の4WD、e-4ORCEは66kWh/430km、B9 e-4ORCEは91kWh/580kmとなる。
アリアのB9 2WDは1充電あたりの最大航続距離は610km。8掛けで計算すると約480km走れることになる。さらに条件を厳しくして7掛けで計算しても、余裕で400km以上は走れるだろう。
コメント
コメントの使い方