1980年代は、国内においても世界においても、日本のクルマの存在感が大いに増した時代であった。北米では、70年代に起きたオイルショックや排ガス規制に大排気量モデルが苦しむ中、日本の小型車の優秀さが注目され輸出を拡大。1980年には、日本が世界一の自動車生産国となった。
その後、バブル景気の後押しもあり、国内各自動車メーカーは、魅力的なモデルを次々と開発。80年代後半は高価なスポーツカーや高級車がバンバン売れる、今ではちょっと考えられない時代となった。景気がよかったこともあり、本当に面白いクルマが続々登場した時代でもあった。
今回は、そんな激動の1980年代に売れていたクルマをいくつかピックップしてご紹介していこう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、MAZDA、ベストカー編集部
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最先端技術が投入された高性能GTカー トヨタ「ソアラ」(初代)
1980年に世界一の自動車生産国となった日本だが、オイルショックの影響で、燃費が良くて壊れにくい小型車が必要であったからに過ぎず、日本車はあくまで「安くて燃費の良いクルマ」でしかなかった。安いクルマは当然、利益率も低い。日本の各自動車メーカーは、利益率を高めるため、ステータス性のある高級車のラインアップ拡充を急いだ。
そんななか開発されたのが、トヨタ「ソアラ」だ。ロングノーズ・ショートデッキの美しい2ドアクーペで、2.8L 直6DOHCエンジンを搭載。スピードメーターはデジタル表示にLEDのタコメーターという先進的なもので、タッチパネル式のオートエアコン、ドライブコンピューター、音声警告機能、クルーズコントロールなど、当時最先端の技術が投入された高性能GTカーだった。
ソアラはその後、2.0L 直6SOHCターボや電子制御AT、60タイヤ、電子制御サスペンションシステム「TEMS」の導入、2.8L車の排気量を3.0Lに拡大など、スペシャルティカーとしての資質を高め、折からの「ハイソカーブーム」も手伝って大人気となった。
オフローダーのイメージを一新させた 三菱「パジェロ」(初代)
1982年に登場した、初代パジェロ。乗用車感覚で使える新しい多目的4WD車として開発された初代パジェロは、スタイリッシュで機能的なデザインと三菱自慢のオフロード性能が特徴のモデルだ。
当初は4ナンバー商用登録車のメタルトップとキャンバストップのみのラインナップであったが、1983年には乗用車登録のワゴンを追加。その後、ディーゼルNA、ディーゼルターボに加え、2.0Lガソリンターボエンジンのモデルや、5ドアロングボディのエステートワゴンも追加するなど、バリエーションを拡大した。
商業的にも大ヒットを記録したパジェロであったが、パジェロの功績はなんといっても、四輪駆動車のイメージを「男の無骨なクルマ」から、「女性がデートで乗りたいクルマ」に変えたことにあるだろう。現在、当たり前となっているSUVのステータス性は、パジェロ抜きではありえなかったであろう。
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