日本車が世界へ飛躍した時代 1980年代に輝いていた国産車たち 5選

軽くて速いは正義!! トヨタ「スターレットターボ」

 1984年10月にデビューした、3代目スターレット。それまでのFRレイアウトからFFに変更したメリットを活かし、全長が45mm短くなったにもかかわらず室内空間は拡大。フロントグリルと一体感のある異形ヘッドランプの外観は、スタイリッシュで若々しい印象を与えた。

 エンジンは当初、1.3L 直4SOHC12バルブが搭載されたが、1986年にインタークーラー付ターボ搭載の「スターレットターボS/R」を追加。軽量コンパクトな車体に、過給圧を2段階に切り替えられる「2モードターボ」という強力な武器を獲得し、テレビCMでは、「かっとび」や「韋駄天」のフレーズで、俊敏さをアピールした。

 「コンパクトで軽くて速い」のはクルマの楽しさを味わうのに一番の近道だ。そのマインドは、現在の「GRヤリス」にも受け継がれている。GRヤリスも、このスターレットターボのように、若者に支持されるクルマとなることができれば、若者のクルマ離れがすこしは食い止められるかもしれない。

3代目スターレット。画像はマイナーチェンジで110psにパワーアップした後期型で、キャッチフレーズは「辛口ターボ」だった
3代目スターレット。画像はマイナーチェンジで110psにパワーアップした後期型で、キャッチフレーズは「辛口ターボ」だった

当時の日本を象徴するサルーン 日産「シーマ」(初代)

 バブル景気の真っ只中である1988年1月に登場した、セドリック/グロリアの上級モデルである「シーマ」。登場するやいなや、爆発的な勢いで売れ、「シーマ現象」という流行語まで生まれた、伝説の名車だ。

 ディテールはいたってシンプルでプレーンながら、落ち着いた威厳を感じさせる美しさで、それまでの日本車とは一線を画すデザインで登場した、初代シーマ。豪華なインテリアに凄まじいパワーを組み合わせは、「当時の日本の状況をクルマで表現したらこうなった」といった様相であった。

 上級グレードに搭載される3.0L V6DOHCターボは255psを発生。テールを沈めてノーズを上げながら暴力的な加速をする姿も、シーマ人気を押し上げた。ステアリングを切ってもスイッチ満載のセンターパッドが動かない「光通信ステアリング」もステータス性の高い装備の一つであった。

初代シーマ。ベーシックグレードでも300万円台後半という価格帯にもかかわらず飛ぶように売れ、「シーマ現象」という言葉まで生まれた
初代シーマ。ベーシックグレードでも300万円台後半という価格帯にもかかわらず飛ぶように売れ、「シーマ現象」という言葉まで生まれた

世界がお手本に ユーノス(マツダ) ロードスター(初代)

 当時、高級モデルばかりであったスポーツカージャンルに、軽量コンパクトな2シーターオープンスポーツ「ロードスター」が誕生したのもバブル期だ。走りにこだわるマツダらしく「人馬一体」をテーマに掲げて登場した、初代ロードスター。高級車が飛ぶように売れていた時代に、真逆の発想で登場し、世界中で大ヒットする。

 このロードスターの大ヒットをみた他のメーカーが、続々と後を追ったことで、90年代のスポーツカーブームに発展。コンパクトで軽い車体に軽快な1.6Lエンジン(後に1.8Lへと排気量を拡大)、FRレイアウト、オープンエアドライブとくれば楽しくないはずがない。

 ロードスターは2016年に累計生産台数が100万台を超え、「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録を、いまも更新し続けている。

初代ロードスター。ピュアFRスポーツカーとして今でも根強いファンが多い
初代ロードスター。ピュアFRスポーツカーとして今でも根強いファンが多い

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 日本の技術が世界に認められ、景気も良くて勢いのあった1980年代。日本の各自動車メーカーは、高級車だけでなく、スポーツカー、コンパクトカー、SUVそれぞれのカテゴリーで魅力的なモデルを次々と世に送り出した。

 安全基準や環境基準など、80年代と現代とでは大きく状況は異なるが、変化を経験しながらも、今も世界に誇れるすばらしい日本車がたくさん存在するのは、この80年代に誕生したモデルたちがあってこそ。街中でみかけることがあったら、ぜひそのような思いで見届けてあげてほしい。

【画像ギャラリー】ほかにもたくさんある!! 1980年代を彩った名車たち

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