2021年6月、ポルトガルのポルティマオサーキットで行われたトヨタGR010のテスト走行に、現在スーパーフォーミュラとスーパーGTに参戦する平川亮の姿があった。
本来シーズンオフの予定であったテスト走行だが、新型コロナの影響で予定変更を余儀なくされ、スーパーフォーミュラ第4戦の菅生を欠場しての参加となった。
ル・マン・ハイパーカーのテスト走行を終えた平川亮選手に時間をいただき、テスト走行の感想や将来的なWEC参戦について話を伺った。
文・インタビュー/段 純恵、写真/TOYOTA GAZOO Racing
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■WECテストでSF欠場という決断
トヨタのWECのテストですが、本来ならシーズンオフの予定だったんです。それがコロナの影響でどんどん延期されて、このままチャンスもなくなるのかなという雰囲気もあったんですが、6月のポルティマオ・テストの話がきて。
ただスーパーフォーミュラの菅生戦を欠場しなきゃいけなくて悩んだは悩んだんですが、将来的なことを考えてテストを選んだのは正解だったと思います。
ずっと世界を意識していたのは間違いないです。レースを始めたきっかけがF1で、自分にすごい影響を与えたから。ただそういう夢もね、やはりこう、なかなかうまくはいかない。ただガズ-レーシングは世界の舞台で闘っているので、そこは常にみていました。
参加することになった9月末のバルセロナ・テストも、当初の予定では11月のバーレーンだった。それだとスーパーGTの最終戦とかぶってしまう。それはどうしても避けたいと思っていましたが、結局、その後WECのカレンダーが変更されてテストのスケジュールも変更された。
SGTの欠場を覚悟していたので、そこは運もありましたね。
■これまでと見える世界が違うGR010というモンスター
ル・マン・ハイパーカーのマシン、GR010HAYBRIDですが、レーシングカーとしてドライビングがかなり難しい。操作マニュアルもいろいろあって覚えなきゃいけないし、走行中のテレメトリーを見てピットからもいろいろ指示も飛んでくるので、それにもあわせないといけない。
先日のル・マン24時間レースでも皆さんけっこう飛び出したりとかしてたじゃないですか。やはり前が電子制御で後ろは機械式のブレーキなので、ちょっとしたタイミングで前が効き過ぎたりとかするんです。前がスイッチのようにカチンとロックするというか。難しいです。
ただ、クルマとしてまだまだ成長する幅があるので、開発に関われるととても面白いと思います。やはり24時間走り切るのが一番大事なカテゴリーなので、速さもはもちろんですが、長く、失敗なく走ることが一番大事です。
ポルティマオ・テストでは、レース向けにいろいろセットアップしたり、いろんなシステムの制御の確認をしたりのロングランが中心でした。バルセロナ・テストでもそこはあまり変わらないと思います。
レギュラードライバーといろいろ比較されますし、ただ単にテストで乗せてもらうのではなく、チームに入り込むような勢いでやってます。
2回目のテストに向けての準備ですか? シミュレーターでの予習と、体力トレーニングですね。前回乗った時、慣れていないので正直、体力的にちょっとしんどいと思ったので。チームのトレーナーと連絡をとって、帰国後14日間の自主隔離中は毎日オンラインでトレーニングしました。
いまも週3とか週4で続けてます。必要なのは持久力的な要素です。SFやSGTは一回のドライブがせいぜい1時間半ですが、WECは1回2時間以上になる。そこで勝つためのいろんな正しい判断をするには、体力に余裕があったほうがいい。体重も1kgでも2kgでも軽いほうがいい。
食事も気をつけて家で作ったのを摂っていますが、やはり一番は継続して有酸素運動をすることです。そのトレーナーさんが『熱い人』で、やらない日もメニューを送ってきて、僕がダラけそうな時にお尻を叩いてくる(笑)。しっかり続けてます。
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