軽トラが安くて楽しめる素材として近年人気を集めている。そして、そのカスタムには車高を上げる系と下げる系の大きく分かれるという。それぞれどんな狙いで上げ下げするのか、軽トラカスタムショップであるGTカープロデュースに聞く。
文/加茂 新
写真/加茂 新
■アゲ系かサゲ系かに二分されるカスタムベクトル
スポーツカーは普通車高は下げる。クロカン系はカスタムすると車高は上げる。これが基本。しかし、軽トラの場合、車高を上げるか下げるか、どちらのカスタムも存在する。
どっちでも楽しめるのが軽トラの世界なのだ。
■サゲ系はリーフスプリングが敵となる
サゲ系はいわゆるシャコタン系。車高調を入れて、リアは専用板バネ(リーフスプリング)を入れて車高を落とす。かっこよさはもちろんのこと、その盛り上がりを受けてGTカープロデュースではミニサーキットでイベントを開催。年間5戦のシリーズ戦で、4戦はタイムトライアル(1周のベストタイムを競う。F1の予選のようなもの)と、1戦のスプリントレースを東海圏のサーキットで開催しているのだ。
当初から存在していたのはこのサゲ系のみ。流れとしてはビート、カプチーノ、アルトワークスなどがチューニングベースとして人気で、シルビアなどと同じように車高を下げて足を引き締め、吸排気チューンやタービン交換などでパワーアップしてどんどん速くなっていった。そのベースが軽トラだったということなのだ。
GTカープロデュースでもデモカーを製作。NAチューンで約100psものパワーを発揮したエンジンを搭載する。わずか100psだが、ノーマルはキャリィもハイゼットも46psほど。2倍以上のパワーは相当に刺激的であり、それを普通車に比べれば遥かに抑えたコストで楽しめる。
注意点としてはこのリアのリーフスプリングが社外品にするとそのままでは車検に通らない。強度検討書を元に事前に申請しておかないといけない。コイルスプリングのダウンサス化はなんの問題もないが、リーフスプリングは手間なのだ。
■意外にハードルが低いのはアゲ系
車高を上げる系カスタムはごく最近の流行だ。
「アウトドアブームの影響もあり、スタイル的に車高を上げる人も多いです。が、実用面でのメリットも大きいです。軽トラカスタムをしているけど、リアルに農作業に使う方もいます。そういった方は農道や林道に入るときに車高が高いほうが使い勝手が良いです。釣りに行かれる方なども実用面とスタイル面からアゲ系カスタムをされる方も多いです」(高原代表)
アゲ系はコストと車検の面でも有利だ。GTカープロデュースでリリースされる「1インチアップキット」は、純正サスペンションにゲタ(スペーサー)を入れるタイプ。サスペンションごと交換しなくていいのでリーズナブル。部品が約4万円+工賃2~2.5万円ほどで25mm車高アップが可能だ。お手軽なのはこの1インチアップまで。
2インチアップとなるとちょっと気合いが必要。2インチ車高を上げるとエンジンからタイヤが吊り下がったレイアウトになってしまう。するとドライブシャフトに角度がついて負担になってしまう。同時にプロペラシャフトにも角度がついて、ギアの唸り音が発生してしまう。
そこでエンジンとメンバーごと金属製のカラーを入れて位置を下げる必要がある。この分のパーツ代と工賃が掛かるのと、40mm以上の車高の変化は記載変更が必要となる。それでもパーツ代で約7万円+工賃4.5~5万円とトータル12万円ほど。サゲ系の車高調導入と同等のコストで2インチアップが可能なのだ。
また、そんなイメージを高めるアンダーガードなどもラインアップしている。じつは高原代表は大手メーカー勤務時代にはWRC(世界ラリー選手権)のプロジェクトにも参加していた方で、競技経験も豊富。本気で作ったアンダーガードなのだ。
キャリィでもハイゼットでもどちらでも楽しめる。あとは好みだ、
「ハイゼットはホイールハウスが大きいので、外径が大きなタイヤが履けます。車高を上げてオフロード系カスタムをすると、外径の大きなタイヤにしたほうがマッチします。その点、キャリィは165/65R15のハスラーサイズが上限で、やや不利になります。でも、ターボ化など、パワー系チューンの情報は圧倒的にキャリィの方が豊富です。そういった遊び方をするならキャリィが有利でしょうね」(高原代表)
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